第119章 斎藤咲子、斎藤グループへ(4)

鈴木知得留は道明寺華の部屋へ向かった。

道明寺華は彼女を待っていた。

鈴木知得留は自分の荷物を整理しながら言った。「この数日間、みんなで行動するときは、後ろについてくるだけでいいわ。他人が何を言おうと気にしないで」

「私は他人の目なんて気にしたことないわ」道明寺華は率直に答えた。

鈴木知得留はそんな素直な道明寺華が好きだった。

「先にお風呂に入って少し寝るわ。起きたら美味しいものを食べに連れて行くから」鈴木知得留は少し疲れた様子で伸びをした。一日中飛行機に乗っていたので、相当疲れていた。

「私は精進料理しか食べないわ」道明寺華は真剣な表情で言った。

自分の身分に関することについて、道明寺華はいつも非常に真剣だった。

「精進料理の豪華なやつね」鈴木知得留は付け加えた。

「いいわ」

鈴木知得留はパジャマを手に取り、バスルームに入った。

この先、細心の注意を払わなければならない!

同時に、細心の注意を払わなければならないのは彼女だけではなかった。

斎藤咲子もそうだった。

月曜日。

斎藤咲子は斎藤グループに向かった。

もう先延ばしにはできなかった。

これまで向き合ったことがなくても、向き合わなければならない。

彼女は根岸峰尾を連れて、父親のオフィスに入った。

すべては何も変わっていなかった。父親が亡くなった後も、ここは元のままの状態を保っていた。

彼女はこのオフィスに来たことがなく、父親の席に座ると、違和感を覚え、さらには圧迫感すら感じた。

彼女は目を動かし、父親の机の上に目立って置かれた写真立てを見た。その中には父親と渡辺菖蒲の結婚写真があり、父親は幸せそうな笑顔を浮かべていた。

斎藤咲子は喉を鳴らし、その写真立てを手に取ると、突然隣のゴミ箱に投げ入れた。

彼女は完全に冷淡になれた。

幼い頃から感情を表現することが得意ではなく、もし以前の村上紀文がいなければ、感情さえ持たない人間になっていたかもしれない。

今になって、今になって突然感謝している。かつての経験に感謝している。何も持っていなかった時期も、すべてを持っていた時期も経験し、それが彼女をどんなことにも動じない人間に作り上げた。そのおかげで、これほど多くの出来事に直面しても、こんなにも早く平静を保ち、冷血とも言えるほど冷静にすべてを受け入れることができるのだ。