激しい戦いの中で。
ボスの足が素早く冬木空の腹部に向かって蹴りを放った。
冬木空はその瞬間、両手で掴み取った。
ボスは一瞬驚いた。その時、彼は全力を尽くして捨て身の一撃を放ったのだ。他の結果など考えもせず、冬木空がこの一撃を受けて確実に死ぬと思い込んでいた。
しかし、彼は受け止めた。
受け止めただけでなく、その瞬間、ボスが逃れる暇もなく、冬木空は彼の太ももを一気にねじった。
「うわっ!」ボスは怒りの叫びを上げた。
冬木空は次の瞬間、ボスのもう片方の足を激しく蹴り上げた。
「ぐあっ!」ボスは再び抑えきれない悲鳴を上げ、それに伴って下腿の骨が折れる音が響いた。
ボスは一気に地面に膝をついた。
冬木空は地面の武器を拾い上げた。
そして、身を屈めて確認し、ボスが二度と目覚めないことを確かめると、軽く息を吐いた。
その時、一行の足音が近づいてきた。
冬木空は身構えたが、上野和明の一行と鈴木知得留だと分かると緊張が解けた。
彼の顔も体も血で汚れ、手には武器をしっかりと握りしめていた。
「冬木空」鈴木知得留は彼の元へ駆け寄り、抱きついた。
死んでいない。
彼は生きている。
冬木空もその瞬間、ずっと張り詰めていた感情が少し和らいだ。
彼は言った。「北村忠を探しに行こう」
鈴木知得留は冬木空から離れ、「私たちは華と別れて二手に分かれたの。彼女が北村忠を見つけているかもしれない」
冬木空は軽く頷き、鈴木知得留の手を取って、急いで森の中へと向かった。
その時、上野和明は少し立ち止まった。
彼は先ほど冬木空が倒した男のところへ大股で歩み寄り、表情が変わった。
「隊長」部隊の精鋭の一人が声をかけた。
冬木空たちはもう遠くへ行ってしまったようだった。
上野和明は我に返り、立ち上がって急いで追いかけた。
……
北村忠は冬木空と別れてから、完全に冷静さを失っていた。
彼は狂ったように走り続け、後ろには何人追っているのかも分からず、周りに何があるのかも分からず、自分に何ができるのかも分からず、ただひたすら走り続け、体力が限界に近づくまで走った。
もう耐えられない。
死んでしまおうか。
死んでしまえば全てが終わる。
そう思うたびに、突然アドレナリンが湧いてきたかのように突っ走る。