第138章 危険レベルアップ(1)再び狙われる(1更)

二人の抱擁は、ずっと続いていた。

北村忠は左右を見回した。

周りには上野和明が立っており、表情はあまり良くなく、顔を横に向けて、二人を見ようとしなかった。

道明寺華は既に自然と上野和明の側に寄り添っていた。

上野和明の側には日本国から連れてきた部隊の精鋭が二名、冬木空の側にも上野和明の部隊の精鋭が二名おり、全員が静かにその場に立っていた。

北村忠は深く息を吸い込んだ。

悪役は自分しかいないようだ。

咳払いをして、口を開いた。「二人とも、イチャイチャする場所を変えませんか。」

抱き合っていた二人は一瞬止まったようだった。

そして。

冬木空は鈴木知得留を腕から離した。

鈴木知得留は彼の腕から離れた。

冬木空が言った。「ここを離れよう。」

北村忠は頷いた。「そうですよね、恋愛ごとは密室で…」

冬木空の一瞥。

北村忠は肩をすくめ、何も言わなかったことにした。

冬木空は手を取って鈴木知得留を引き、二人で先頭を歩いた。

他の者たちは後に続いた。

北村忠は退屈を感じていた。

横にいる道明寺華を見て、話しかけようと思い、ついでにあいつに殴られてひどい目に遭ったことも愚痴るつもりだった。

彼が大股で道明寺華に近づいて話しかけようとした時、道明寺華は突然上野和明の腕を取り、上野和明と楽しそうに会話を始めた。どう見ても普段の道明寺華らしくなく、この瞬間、上野和明の傍らでは、目の錯覚かもしれないが、まるで可愛らしい女の子のように見えた。

なんてこった。

高橋武雄もロリータになれるんだな。

明らかに道明寺華は北村忠など眼中になく、ずっと上野和明と話し続け、目には笑みが溢れていた。それは一目瞭然だった。

くそっ。

ずっと道明寺華には言語障害があると思っていた。

こんなに活発な様子を見ると、自分の目が節穴だったようだ。

他人のことを気にかけることも珍しかったが、退屈なので大部隊について海辺へと向かった。

海辺には二艘のモーターボートが停泊していた。鈴木知得留を探しに来た時に使ったものだ。

全員がモーターボートに近づいた瞬間。

突然。

頭上でヘリコプターの音が響き始め、どんどん近づいてきた。

全員の足が一瞬止まった。

同時に。

上空から銃声が響いた。

海面にも数隻のモーターボートが現れ、遠くからこの小島に向かって来ていた。