二人の抱擁は、ずっと続いていた。
北村忠は左右を見回した。
周りには上野和明が立っており、表情はあまり良くなく、顔を横に向けて、二人を見ようとしなかった。
道明寺華は既に自然と上野和明の側に寄り添っていた。
上野和明の側には日本国から連れてきた部隊の精鋭が二名、冬木空の側にも上野和明の部隊の精鋭が二名おり、全員が静かにその場に立っていた。
北村忠は深く息を吸い込んだ。
悪役は自分しかいないようだ。
咳払いをして、口を開いた。「二人とも、イチャイチャする場所を変えませんか。」
抱き合っていた二人は一瞬止まったようだった。
そして。
冬木空は鈴木知得留を腕から離した。
鈴木知得留は彼の腕から離れた。
冬木空が言った。「ここを離れよう。」
北村忠は頷いた。「そうですよね、恋愛ごとは密室で…」