急速に進む密林の中。
「まずは隠れろ」と上野和明は冷静に言った。
全員が隠れた場所に身を潜めた。
上野和明は言った。「相手の数が多すぎる。正体が分からない時は、勝手な行動は取るな」
「私が見てきます」と道明寺華が自ら申し出た。
上野和明は頷いた。「気を付けろよ」
道明寺華は頷いた。
そして一跳びで、非常に軽やかに近くの大木に登り、ほぼ頂上まで登って、注意深く見なければ木の葉に完全に隠れてしまうほどだった。道明寺華はそこで留まることなく、一跳びで軽々と別の木へと移動した。
北村忠は目をこすった。
「うわ、こいつ猿かよ」
いや違う、猿じゃない。
こいつは軽功を使える。
彼は道明寺華がこの木からあの木へ移動する時、あまりにも軽やかで木々さえほとんど動かないことに気付いた。