冬木空は北村忠を連れて洞窟を出て、素早く森の中を移動した。
彼らの意図的な行動は瞬時に死骸組織の注意を引き、一群の者たちが猛然と追跡を開始したが、前回の教訓を活かし、これが囮作戦だと悟って、一部の者たちを周辺の捜索に残した。
道明寺華は鋭い感覚で、誰かが洞窟の入り口に近づいていることを察知できた。
わずか20分ほどの休息を取った上野和明も目を覚まし、武器を準備して作戦を立て始めた。
「何人だ?」上野和明が尋ねた。
「およそ8人です。」
「知得留、奥に下がっていろ。何が起きても出てくるな。これが武器だ。」上野和明は鈴木知得留に渡しながら言った。「誰かが近づいてきたら、躊躇わずに引き金を引け。覚えておけ、これは全て正当防衛だ。」
そう言いながら、上野和明は鈴木知得留に黒い武器を渡した。
それ以上何も言う暇もなく、三人の特殊部隊員と道明寺華と共に洞窟の入り口を守った。
鈴木知得留はその冷たい武器を握りしめ、恐れず震えないようにと自分に言い聞かせた。
突然。
体が震えた。
洞窟の近くで銃声が響いた。
鈴木知得留には外の状況は分からなかったが、誰も中に入ってこなかった。
彼女は自分に言い聞かせた。彼らはまだ持ちこたえている、皆無事だと。
その一方で。
冬木空と北村忠が引き離した死骸組織の一団が、彼らの近くまで迫っていた。
彼らは茂みに身を隠していた。
「およそ8人だ」と冬木空が言った。
警戒しながら、拳銃を握りしめていた。
北村忠は息を飲んで言った。「空、海外でシューティングクラブに所属して本物の武器も扱ったし、射撃の腕前も悪くなかったけど、これは実戦だぞ。俺なんて半人前だ。」
「気をつけろ、近づいてきた」と冬木空は小声で警告した。
北村忠はその時悟った。いつか冬木空のせいで死ぬことになるだろうと。
まさかその日がこんなに早く来るとは思わなかった。
息を殺して、足音が一歩一歩近づいてくるのを感じていた。
冬木空は北村忠に目配せした。
緊張が高まる中、このような暗闇でも冬木空の指示が見て取れるようだった。
だから、人間の潜在能力は無限大という言葉は、嘘ではないのだ。
極限状態に追い込まれた時に発揮されるのだ。
三。
二。
一。
冬木空が発砲した。
一人が突然倒れた。
その直後、無数の銃声が襲いかかってきた。