上野和明は洞窟の中に静かに置かれた。
彼と一緒に戻ってきたのは三人だけだった。
想像に難くない、一人は……壮絶な犠牲を遂げたのだ。
「どこを怪我したの?」鈴木知得留は急いで這い寄って尋ねた。
「銃創です。左太もも、右足の下腿部です」と道明寺華が答えた。
「二発の弾丸を受けたのね」と鈴木知得留が呟いた。
「まず弾丸を取り出さないと」と道明寺華が言った。「師匠、応急医療キットは持ってますか?」
「ああ」上野和明は重たい声で答えた。おそらく痛みを堪えているのだろう。
「我慢してください」
上野和明はもう何も言わなかった。
道明寺華は鈴木知得留に軍用懐中電灯を持たせた。光が集中して、外に漏れることはない。
冬木空と北村忠は洞窟の入り口に行き、木の葉で洞窟からの光を遮り、外からは何も見えないようにした。
今、洞窟の中では全ての準備が整った。
道明寺華は小声で言った。「師匠、我慢してください」
「ああ」
「田中明、服を師匠に噛ませて。田中史、師匠の両手を押さえて」
「はい」二人の部隊のエリートは恭しく答えた。
鈴木知得留はずっと傍にいた。
何を言えばいいのか分からなかった。
全ては自分が原因で起きたことのように思えた。
でも……後悔はしたくなかった。
なぜなら、すでに起きてしまったことを後悔しても意味がない。大切なのは、どう仕返しをするかだ。
静かな洞窟の中に、上野和明の深い苦痛の声が響いた。
「もう一発残ってます」道明寺華は一発を取り出した。
そして。
また極限の耐えの時間が続いた。
「終わりました」と道明寺華が言った。
薬を塗り、包帯を巻き終えた。
全て終わってから、上野和明は口から服を吐き出し、深く息を吸って、痛みを調整していた。
「和明お兄さん」鈴木知得留はずっと彼の傍にいた。
「大丈夫だ」上野和明が言った。「少し休めば」
「うん」鈴木知得留は力強く頷いた。
道明寺華は清潔な場所を見つけ、上野和明を休ませ、他の三人の部隊のエリートが彼の傍で見張りをした。しばらくすると上野和明の少し荒い寝息が聞こえてきた。
洞窟の中には上野和明の均一でやや急な呼吸音だけが響いていた。
鈴木知得留は両膝を抱えていた。
実は、無事に脱出できるかどうか分からなかった。