上野和明は洞窟の中に静かに置かれた。
彼と一緒に戻ってきたのは三人だけだった。
想像に難くない、一人は……壮絶な犠牲を遂げたのだ。
「どこを怪我したの?」鈴木知得留は急いで這い寄って尋ねた。
「銃創です。左太もも、右足の下腿部です」と道明寺華が答えた。
「二発の弾丸を受けたのね」と鈴木知得留が呟いた。
「まず弾丸を取り出さないと」と道明寺華が言った。「師匠、応急医療キットは持ってますか?」
「ああ」上野和明は重たい声で答えた。おそらく痛みを堪えているのだろう。
「我慢してください」
上野和明はもう何も言わなかった。
道明寺華は鈴木知得留に軍用懐中電灯を持たせた。光が集中して、外に漏れることはない。
冬木空と北村忠は洞窟の入り口に行き、木の葉で洞窟からの光を遮り、外からは何も見えないようにした。