第141章 危険レベルアップ(4)冬木空、死んでほしくない(4話目)

上野和明は洞窟の中に静かに置かれた。

彼と一緒に戻ってきたのは三人だけだった。

想像に難くない、一人は……壮絶な犠牲を遂げたのだ。

「どこを怪我したの?」鈴木知得留は急いで這い寄って尋ねた。

「銃創です。左太もも、右足の下腿部です」と道明寺華が答えた。

「二発の弾丸を受けたのね」と鈴木知得留が呟いた。

「まず弾丸を取り出さないと」と道明寺華が言った。「師匠、応急医療キットは持ってますか?」

「ああ」上野和明は重たい声で答えた。おそらく痛みを堪えているのだろう。

「我慢してください」

上野和明はもう何も言わなかった。

道明寺華は鈴木知得留に軍用懐中電灯を持たせた。光が集中して、外に漏れることはない。

冬木空と北村忠は洞窟の入り口に行き、木の葉で洞窟からの光を遮り、外からは何も見えないようにした。

今、洞窟の中では全ての準備が整った。

道明寺華は小声で言った。「師匠、我慢してください」

「ああ」

「田中明、服を師匠に噛ませて。田中史、師匠の両手を押さえて」

「はい」二人の部隊のエリートは恭しく答えた。

鈴木知得留はずっと傍にいた。

何を言えばいいのか分からなかった。

全ては自分が原因で起きたことのように思えた。

でも……後悔はしたくなかった。

なぜなら、すでに起きてしまったことを後悔しても意味がない。大切なのは、どう仕返しをするかだ。

静かな洞窟の中に、上野和明の深い苦痛の声が響いた。

「もう一発残ってます」道明寺華は一発を取り出した。

そして。

また極限の耐えの時間が続いた。

「終わりました」と道明寺華が言った。

薬を塗り、包帯を巻き終えた。

全て終わってから、上野和明は口から服を吐き出し、深く息を吸って、痛みを調整していた。

「和明お兄さん」鈴木知得留はずっと彼の傍にいた。

「大丈夫だ」上野和明が言った。「少し休めば」

「うん」鈴木知得留は力強く頷いた。

道明寺華は清潔な場所を見つけ、上野和明を休ませ、他の三人の部隊のエリートが彼の傍で見張りをした。しばらくすると上野和明の少し荒い寝息が聞こえてきた。

洞窟の中には上野和明の均一でやや急な呼吸音だけが響いていた。

鈴木知得留は両膝を抱えていた。

実は、無事に脱出できるかどうか分からなかった。