第156章 真っ向勝負(2)4更

「鈴木知得留!私はあなたと穏やかに話そうと思っていたのに、あなたがずっと理不尽な態度を取っているのよ。上司として、こんなに大勢の前で恥ずかしい思いをさせられたわ」楠木観月は厳しい口調で言った。

「私があなたの部下だということを覚えていてくれて感謝します。もう少しで私の上司ではなく、田村厚の上司だと思うところでした。少なくとも、あなたの田村厚への評価は私への評価よりもずっと高いようですから」鈴木知得留は皮肉っぽく言った。

「田村厚のこの期間の会社での実績は皆が目にしているもので、私の言葉だけではありません!私は仕事に対して常に公平公正で、えこひいきなどしません!会社のためになることなら、全力でサポートします」楠木観月は興奮した様子で言った。

「でも、私の職務を勝手に変更することが会社のためになるとは思えません。確かに私は出勤していませんでしたが、それは事故があったことと体調管理のために自宅療養を選んだからです。その間も仕事を放棄したわけではなく、自宅で今回の海上レジャープロジェクトの企画を立てていました。今日、楠木部長に報告するつもりでしたが、私の仕事はすでに取り消されていたなんて」鈴木知得留は依然として冷静さを保っていた。

楠木観月が攻撃的な態度を取り続けても、彼女は激怒することなく品位を保ち、話す言葉もゆっくりと的確で説得力があった。

楠木観月の表情は極めて不愉快そうだった。

「私は先ほど田村厚のプロジェクト報告を聞きましたが、彼の現在の案が私のものより優れているとは思えません。楠木部長が田村厚を私より優れていると考えているとしても、私の企画案を野村社長と在席の皆様に報告する必要があると考えています」鈴木知得留は野村松尾に向かって、確信に満ちた口調で言った。

幸いにも、彼女は鈴木山の娘だった。

どんな場合でも、野村松尾は彼女に面子を立てざるを得なかった。

だから彼女の要求を受け入れるしかなかった。

野村松尾は鈴木知得留と楠木観月の言い争いの間、終始知らんふりをしていた。二人とも簡単には敵に回せない立場にいたからだ。

これがビジネスの世界だ。

狭間で生き残りを図るのは、人の常というものだ。