会議室は一瞬静まり返った。
実際、先ほどまでは楠木観月と鈴木知得留の言い争う声だけだった。
明らかに鈴木知得留が正しかったが、理があっても容赦なく、また確かに功を焦る様子を見せ、皆の目には良く映らなかった。
もちろん楠木観月も人心を得られなかった。彼女の言葉は耳障りが悪く、時には考えもなく口から出まかせを言い、上司としての品格に欠けていた。
結局、二人の対立は誰にも利益をもたらさなかった。
鈴木知得留はそれを分かっていながらもそうせざるを得なかった。なぜなら、田村厚を商業管理機構で活躍させるわけにはいかず、彼を徹底的に押さえつけることで、その黒幕を刺激する必要があったからだ。
そして下座に座っている田村厚は、今にも爆発しそうな状態だった。
毎回、毎回自分が何か成果を上げようとする時、鈴木知得留が必ず横槍を入れてくる。