第176章 陰謀(3)怖がらないで、私が後ろで守っているから!

鈴木山の事務所の中。

鈴木知得留は我に返り、「お父さん、村上おじさんの事務所にはこのお茶はないわ」

「もしかしたら飲み切ったのかもしれないな」鈴木山は気にせず言った。「でも村上アシスタントは私が飲み終わる前に必ず補充してくれるはずだ。長年一度も切らしたことがない。私のお茶を飲む習慣も、村上アシスタントのおかげで身についたものだ」

その口調には、感謝の気持ちが込められていた。

鈴木知得留は軽く唇を噛んだ。

「そういえば、村上アシスタントはどこに行ったんだ。今日はまだ来ていないのか?」鈴木山は独り言のように言った。

鈴木知得留は答えず、この時何も言わなかった。

鈴木山は村上アシスタントに電話をかけたが、誰も出なかった。

鈴木山はさらに驚いて、「なぜ電話に出ないんだ?出勤もしていないし?」

「何か用事があって遅れているのかもしれません」

「用事があれば必ず事前に連絡してくるはずだ」鈴木山は少し心配そうに、「何か問題が起きたんじゃないだろうか」

「そんなことはないでしょう」鈴木知得留は適当に答えた。

鈴木山は考え込んで、「もう少し待ってみよう」

今日は待っても来ないのだ。

鈴木知得留は時計を見て、突然出勤時間を30分ほど過ぎていることに気付いた。

彼女は驚いて声を上げた。

鈴木山は彼女を見て、「どうしたんだ?この二日間よく眠れていないのか?何だか上の空のようだが」

「今朝は入札会議があります!」鈴木知得留は言いながら、大股で外に走り出した。

鈴木山は娘の慌ただしい後ろ姿を見つめた。

何か様子がおかしい気がした。

鈴木知得留は急いでエレベーターで事務所に戻った。

自分の席に向かおうとした時、木村章が急いで彼女の方に来て、「鈴木課長、今日の入札会議に遅刻されましたが、今みんなが待っています。大手企業グループも含めて」

鈴木知得留は急いでノートパソコンを抱えて、入札会議室へ向かった。

到着すると。

全員が彼女を待っていた。

プロジェクトの責任者として遅刻するのは、確かに適切ではない行為だった。

鈴木知得留は野村松尾の表情が良くないのを見た。

彼女は小声で謝罪し、入札会場の席に着いた。