第175章 陰謀(2)暴かれた真実

冬木グループ総経理室の外。

秘書のそんな大げさな反応に鈴木知得留の顔が赤くなった。

彼女は北村忠をちらりと見た。

北村忠は魅力的な笑顔を浮かべ、「旦那様が特別に私に出迎えを頼まれたんです」と言った。

鈴木知得留は珍しく北村忠と言葉を交わし、道明寺華を連れて冬木空のオフィスに入った。

これが初めて冬木空の領域に足を踏み入れる。

彼も出勤して間もないのだ。

冬木空のオフィスは広いが、とてもシンプルで、彼は複雑なものを好まないようだ。

彼は椅子に座り、鈴木知得留が彼のオフィスに近づいてくるのを見ていた。

「来たね」

鈴木知得留は頷き、直接冬木空の方へ歩いていった。

冬木空は彼女に向かい合わせの椅子に座るよう促した。

鈴木知得留はそこに座った。

道明寺華は鈴木知得留との付き合いで息が合うようになり、おとなしく冬木空のオフィスの片隅のソファに座り、暇つぶしにスマートフォンを取り出してゲームを始めた。

北村忠も邪魔者扱いされたくなく、ソファに座り、道明寺華から近すぎない距離を保ちながら、同じくゲームに没頭した。

鈴木知得留は手に持っていたティーカップを冬木空に渡し、「これは父のお茶です」と言った。

冬木空はそれを受け取り、頷いて「できるだけ早く結果を出す」と言った。

「今、少し不安なんです」鈴木知得留は心配を打ち明けた。

「怖がらないで。もしこのお茶に本当に問題があるなら、それはむしろ良いことだ。どちらにしても、少なくとも父上の健康は守れる」

「一体誰が、こんな大がかりな計画を、こんなに長期間にわたって仕掛けているのか、一体何が目的なんでしょう!」鈴木知得留は不安を隠せなかった。

「いつかは真相が明らかになる日が来る」

「冬木空、今このお茶を調べなくても、何か問題があるような気がします。来る途中でいろいろ考えたんです。考えれば考えるほど、村上忠には不自然な点がいくつもあるように思えます」

「話してください」冬木空は静かに聞き入った。

「まず一つ目は、根岸佐伯が亡くなった時、村上忠が家に来て父を呼び出し、根岸史子に後片付けの時間を与えるため、二人きりにしたことです」

冬木空は頷いた。