第192章 所有欲が強い冬木空

高級マンション。

冬木空と鈴木知得留と道明寺華は二杯ずつお粥を食べた。

道明寺華は躊躇なく褒め称えた。「これは私が今まで食べた中で一番美味しい食事です。ありがとうございます。」

塩川実は微笑んで、「どういたしまして。」

鈴木知得留も同意して、「医学を学んでいると思っていたけど、料理の腕前がこんなに良いなんて。」

「器用な手先を持っているんですよ。」塩川実は性格が良く、冗談も言えた。

「死体を扱う時も同じ手を使うんだ。」冬木空が突然口を開いた。

鈴木知得留は彼の方を向いて、「嫉妬してるの?」

「事実です。」塩川実が言った。「それに、私は死体の感触の方が好きですから。」

「……」鈴木知得留は言葉を失った。

冬木空の付き合う人は、みんな変わり者なの?

「もう遅いので、私も帰らないと。」塩川実は食器を片付けて食洗機に入れ、手を拭いながら言った。「夜に抗生剤の点滴をしに来ます。」

「うん。」

塩川実はそのまま帰っていった。

鈴木知得留は冬木空をリビングのソファまで支えた。

道明寺華も満腹になり、ソファで足を組んでテレビを見ていた。

道明寺華はここでの生活にますます慣れてきて、電子機器も使えるようになり、街の喧騒にも慣れ、食事も武道寺のものより口に合うようになっていた。

鈴木知得留は道明寺華のくつろいだ様子を見て、テレビを見る邪魔をせずに、冬木空の方を向いた。「部屋で横になる?」

「君が横になりたいの?」冬木空は眉を上げた。

「あなたの事を言ってるの。」鈴木知得留は不機嫌そうに言った。

「君が横になりたがってて、私が付き添えると思ったんだ。」

「……」彼女はそんなに欲求不満に見えるのか?

「そうだ、見せたい物がある。」冬木空は話題を変えた。

鈴木知得留は眉をひそめた。

冬木空が言った。「私の部屋から携帯を持ってきてくれないか。」

鈴木知得留は頷いて、冬木空の部屋から携帯を持ってきた。

「パスワードは私の誕生日だ。」冬木空が言った。

鈴木知得留は画面を見つめて少し戸惑った。

あなたの誕生日なんて知るわけないじゃない。

冬木空は眉を上げた。「知らないの?」

当たり前でしょ。

知っていたらこんなに気まずくなるわけない。

「知らないみたいだね。」冬木空は鈴木知得留の表情を見て、つぶやいた。