高級マンション。
冬木空と鈴木知得留と道明寺華は二杯ずつお粥を食べた。
道明寺華は躊躇なく褒め称えた。「これは私が今まで食べた中で一番美味しい食事です。ありがとうございます。」
塩川実は微笑んで、「どういたしまして。」
鈴木知得留も同意して、「医学を学んでいると思っていたけど、料理の腕前がこんなに良いなんて。」
「器用な手先を持っているんですよ。」塩川実は性格が良く、冗談も言えた。
「死体を扱う時も同じ手を使うんだ。」冬木空が突然口を開いた。
鈴木知得留は彼の方を向いて、「嫉妬してるの?」
「事実です。」塩川実が言った。「それに、私は死体の感触の方が好きですから。」
「……」鈴木知得留は言葉を失った。
冬木空の付き合う人は、みんな変わり者なの?
「もう遅いので、私も帰らないと。」塩川実は食器を片付けて食洗機に入れ、手を拭いながら言った。「夜に抗生剤の点滴をしに来ます。」
「うん。」
塩川実はそのまま帰っていった。
鈴木知得留は冬木空をリビングのソファまで支えた。
道明寺華も満腹になり、ソファで足を組んでテレビを見ていた。
道明寺華はここでの生活にますます慣れてきて、電子機器も使えるようになり、街の喧騒にも慣れ、食事も武道寺のものより口に合うようになっていた。
鈴木知得留は道明寺華のくつろいだ様子を見て、テレビを見る邪魔をせずに、冬木空の方を向いた。「部屋で横になる?」
「君が横になりたいの?」冬木空は眉を上げた。
「あなたの事を言ってるの。」鈴木知得留は不機嫌そうに言った。
「君が横になりたがってて、私が付き添えると思ったんだ。」
「……」彼女はそんなに欲求不満に見えるのか?
「そうだ、見せたい物がある。」冬木空は話題を変えた。
鈴木知得留は眉をひそめた。
冬木空が言った。「私の部屋から携帯を持ってきてくれないか。」
鈴木知得留は頷いて、冬木空の部屋から携帯を持ってきた。
「パスワードは私の誕生日だ。」冬木空が言った。
鈴木知得留は画面を見つめて少し戸惑った。
あなたの誕生日なんて知るわけないじゃない。
冬木空は眉を上げた。「知らないの?」
当たり前でしょ。
知っていたらこんなに気まずくなるわけない。
「知らないみたいだね。」冬木空は鈴木知得留の表情を見て、つぶやいた。