広々とした高級会議室。
誰もが自分の耳を疑っているようだった。
全員が驚いて加賀毅と佐藤隆の二人を見つめていた。全く予想外の展開だった。
佐藤隆はともかく、なぜ加賀毅が斎藤咲子の味方をするのか。
村上紀文も二人を見つめていた。
冷たい表情の中にも、驚きを隠せなかった。
会議の中央に座る斎藤咲子は、内心でほっと胸をなでおろした。
実は、彼女も緊張していた。八割の確信があっても、残りの二割の可能性を恐れていた。もしそれが現実になったら、どんな態度で向き合えばいいのか分からなかった。幸い、そうはならなかった。
彼女の口元に、徐々に笑みが浮かんだ。勝利者の笑みだった。
その笑顔が、村上紀文の目に映った。
得意げなのか?
確かに、意気揚々としているように見えた。
「加賀取締役、どうしてですか?斎藤咲子を支持するなんて?」ある取締役が驚きを隠せず、直接名前を呼んだ。