第173章 真の台頭、私が変わったすべては貴方のおかげ!(2更)

広々とした高級会議室。

誰もが自分の耳を疑っているようだった。

全員が驚いて加賀毅と佐藤隆の二人を見つめていた。全く予想外の展開だった。

佐藤隆はともかく、なぜ加賀毅が斎藤咲子の味方をするのか。

村上紀文も二人を見つめていた。

冷たい表情の中にも、驚きを隠せなかった。

会議の中央に座る斎藤咲子は、内心でほっと胸をなでおろした。

実は、彼女も緊張していた。八割の確信があっても、残りの二割の可能性を恐れていた。もしそれが現実になったら、どんな態度で向き合えばいいのか分からなかった。幸い、そうはならなかった。

彼女の口元に、徐々に笑みが浮かんだ。勝利者の笑みだった。

その笑顔が、村上紀文の目に映った。

得意げなのか?

確かに、意気揚々としているように見えた。

「加賀取締役、どうしてですか?斎藤咲子を支持するなんて?」ある取締役が驚きを隠せず、直接名前を呼んだ。

「私個人としては、これは将来性のあるプロジェクトだと考えています。だから支持します」加賀毅は余計な説明はしなかった。

佐藤隆も同調して、「私もそう思います。確かに今は理想的なプロジェクトには見えませんが、社長が自己資金を投じてこの事業を行うのであれば、チャンスを与えたいと思います。どのみち、斎藤さんの死は突然でした。新社長の先輩として、若い世代を励ますのは当然でしょう」

誰も佐藤隆がこんな言葉を口にするとは信じられなかった。

一昨日の取締役会の懇親会では、斎藤咲子を降ろす方法を話し合っていたばかりだった。

その時最も強く反対していたのが佐藤隆だったのに、たった一日で寝返るとは?!

会議室は一時騒然となった。

斎藤咲子は塩川真に目配せした。

塩川真は微笑み、安堵の表情を浮かべながら咳払いをして、「佐藤取締役、加賀取締役、そして社長の持株を合わせると、支持率は51パーセントとなります。取締役会の規定により、過半数を超える株式を持つ側の決定が採用されます。以上により、本取締役会全体会議は、商業管理部開発区海上誘致プロジェクトの入札参加を承認いたします!」

プロジェクトが決定した。

取締役会のメンバーは、しばらくの間、衝撃から立ち直れないようだった。