更衣室。
鈴木知得留はそのまま着替えを済ませて出てきた冬木空を見つめていた。
彼は仕立ての良い黒いスーツを着て、髪を後ろに撫でつけた格好いいスタイルで、露わになった額も素敵だった。深い瞳が姿見越しに入ってきた鈴木知得留を見つめ、その目が少し上がった……
うっ。
胸がドキドキする。
世の中にこんなにかっこいい男性がいるなんて?!
冬木空のやつ、もしかして本物じゃないんじゃないか。
彼女は近寄っていった。
冬木空の隣に立つ。
彼女は親しげに彼の腕を引いて、「どうしてこんなに早く来たの?」
冬木空は魅力的な薄笑いを浮かべただけで、答えなかった。
むしろ、彼の隣にいた北村忠が口を挟んだ。「興奮しすぎて眠れなかったからだよ」
「本当?」鈴木知得留は驚いた表情を見せた。
「北村忠の言葉をどれだけ信用できると?」冬木空は淡々と言った。
「それもそうね」鈴木知得留は頷いた。
北村忠は不機嫌になった。
彼は嘘なんて言わないのに?
朝の5時。
そう、絶対に見間違いじゃない。
彼がベッドで良い夢を見ているときに、冬木空から電話がかかってきた。
寝坊したのかと思い、その瞬間冬木空からの電話を受けた時、飛び起きて、申し訳なさそうな顔をしていた。
しかし時間を確認した時、彼は完全に呆然とした。
5時。
夜も明けていないのに、車で迎えに来いと言われた。
これはただのウェディング写真撮影なのに、結婚するからって、こいつは一睡もできなかったんだろう。
彼も説明する気にはならなかった。
とにかく冬木空は典型的な、内気な男だ!
彼は道明寺華と斎藤咲子を連れている鈴木知得留の方を見た。
「あなたのブライズメイド?」北村忠は尋ねた。
「ああ、華と咲子よ」鈴木知得留は紹介した。
道明寺華はずっと彼女について回っているので皆知っているが、咲子とは馴染みがない。
「はじめまして」北村忠は斎藤咲子に挨拶した。
他人の前では、彼は絶対的な紳士を保っていた。
「はじめまして、斎藤咲子と申します。北村さんのお噂はかねがね伺っております」斎藤咲子は急いで手を差し出した。
北村忠は笑顔で握手を返し、「斎藤さんこそ、一躍有名になられて、今や東京中で知らない人はいないほどですよ」
「お褒めに預かり光栄です」斎藤咲子は非常に丁寧で、