更衣室。
鈴木知得留はそのまま着替えを済ませて出てきた冬木空を見つめていた。
彼は仕立ての良い黒いスーツを着て、髪を後ろに撫でつけた格好いいスタイルで、露わになった額も素敵だった。深い瞳が姿見越しに入ってきた鈴木知得留を見つめ、その目が少し上がった……
うっ。
胸がドキドキする。
世の中にこんなにかっこいい男性がいるなんて?!
冬木空のやつ、もしかして本物じゃないんじゃないか。
彼女は近寄っていった。
冬木空の隣に立つ。
彼女は親しげに彼の腕を引いて、「どうしてこんなに早く来たの?」
冬木空は魅力的な薄笑いを浮かべただけで、答えなかった。
むしろ、彼の隣にいた北村忠が口を挟んだ。「興奮しすぎて眠れなかったからだよ」
「本当?」鈴木知得留は驚いた表情を見せた。
「北村忠の言葉をどれだけ信用できると?」冬木空は淡々と言った。