ウェディング写真の撮影は丸一日かかった。
鈴木知得留は、写真を撮るだけなのに、こんなに疲れる作業になるとは思ってもみなかった。
彼女と冬木空はカメラマンに様々なポーズを要求され続けた。
室内から屋外まで。
夜明けから日暮れまで。
日が暮れても解放されず、夜景を撮ると言われた。
最後に本当に終わった時、鈴木知得留は顔の筋肉が笑いすぎて固まってしまったように感じた。
夜10時、一行は一緒に食事に向かった。
東京のフォーシーズンホテル。
冬木空、鈴木知得留、そして冬木心と道明寺華の4人が同じテーブルについた。
道明寺華以外の3人はステーキを注文した。
道明寺華はいつも通り菜食主義。
ステーキが運ばれてきた。
冬木空が優雅にナイフとフォークを手に取り、食事の準備をしようとした。
鈴木知得留が止めた。「動かないで、私がやるわ」
冬木空は眉をひそめた。
鈴木知得留は既に彼のナイフとフォークを取り、ステーキを小さく切り分け、そしてフォークを冬木空に渡した。「どうぞ」
冬木空の口元に薄い笑みが浮かんだ。
冬木心は二人のやり取りをじっと見ていた。
いつからか、兄は本当に鈴木知得留のことを好きになったのだ。
それも、こんなにも明らかに。
以前は兄が誰かを好きになるなんて思えなかった。あまりにも優秀すぎて、外見も能力も、誰も兄に釣り合う人はいないと思っていた。最初は鈴木知得留でさえ無理だと思っていたが、今では分かった。釣り合うかどうかは、外からの基準で決まるものではなく、二人の間に感情が芽生えるかどうかだけなのだと。
この瞬間、彼女は兄と鈴木知得留が本当に運命の相手だと感じた。
二人が過ごす幸せで甘い時間は、嘘をつくことができない。
良かった。
冬木空がついに誰かに落ち着いた。
さもなければ、父が怒り死にしそうだった。
静かな食卓で、全員が自分の夕食を食べていた。
道明寺華の食事は早かった。
数口で自分の料理を平らげると、口元を拭った。「トイレに行ってきます」
鈴木知得留が頷いた。
道明寺華はトイレに向かった。
実は彼女は普段あまりトイレに行かない。水をあまり飲まないからだ。水を飲まない理由は、トイレの時間を取られたくないからだ。要するに、ボディーガードとして、私的な時間は少ないほど職務に忠実だと考えていた。