「これからの人生は、全てあなたのもの」
寝室の中で、全員が息を止めた。
まるで全員がこの言葉に感動したかのように。
全てあなたのもの。
これからはあなただけ。
鈴木知得留の目が赤くなってきた。
前世では結婚することはなかった。前世でも自分の結婚式の素晴らしさを想像していた。前世でも甘くて温かくロマンチックな結婚式を望んでいた。でも、前世では悲惨な死を遂げ、目を閉じることもできなかった。
今世では...今世では、彼女が望むものすべてを冬木空が与えてくれた。
愛、結婚式、結婚生活。
そしておそらく近い将来、子供も。
胸が温かく、鼻が酸っぱくなった。
実際、彼女はこの結婚式をとても楽しみにしていた。心臓が早鐘を打ち、興奮して眠れなくなるほど。でも、想像していた期待が現実となったこの瞬間は、想像していた以上に素晴らしかった。
「冬木空」知得留が声を出した。
冬木空は彼女を見つめた。
彼の瞳はとても美しく、まるで人を吸い込んでしまいそうだった。
「今生、絶対に離れないでね?」知得留は一言一言丁寧に尋ねた。
「ああ」冬木空は確かな返事をした。
一言で、とても心地よい響きだった。
「何が起きても、これから私たちがどうなっても、離れないでね?」
「ああ」
「冬木空」知得留の目は今や真っ赤になっていた。「愛してる」
この「愛してる」という言葉は、純金よりも真実だった。
冬木空の口元に笑みが浮かんだ。その笑顔は魅惑的だった。
彼は言った。「じゃあ、しっかり愛してくれ」
知得留は彼を見つめた。
こんなに深い告白の時に、そんな返事をする人がいるだろうか。
「なぜなら、私は他の人を愛することはできないから」
知得留の胸が高鳴った。
なぜなら、他の人を愛することができないから、だから彼女にしっかり愛してほしいということ?
もし、もし彼女が彼を愛さなければ、彼は一生独りを選ぶということ?
冬木空の愛の言葉は、一見何気ないようで人の心を激しく揺さぶり、その真意を理解した時、胸が不思議と温かくなるのだった。
二人の間の隠すことのない感情は、周りの全員に伝わっていた。
こんなにも美しい愛というものがあるのだと。
こんなにも美しい愛が人を感動させることができるのだと。