東京第一病院。
医師が言った。
命に別状はないが……根岸史子は下半身不随で一生寝たきりになるだろうと。
それだけではなかった。
根岸史子は全身の80%が火傷を負い、内臓のほとんどが焼けただれていた。寝たきりというのは表面的な説明に過ぎず、正確に言えば、話すことも、歩くことも、食事をすることも、トイレに行くことさえもできない。植物人間よりも悲惨な状態だった。
植物人間は少なくとも体の痛みを感じることはなく、常に昏睡状態にある。
しかし彼女は、すべての感覚があり、すべての痛みを感じ、思考もできる。それなのに植物人間同様、何もできないのだ。
鈴木知得留は看護師と一緒に、根岸史子を病室へ運んだ。
医師によると、麻酔が切れるまでに1、2時間かかるという。
目が覚めた後は、骨身に染みる激痛に襲われるが、身動きすらできず、声を出すこともできない。
ただ耐えるしかない、その激痛に。
鈴木知得留はベッドの横に座り、鈴木友道が後から駆けつけた。
鈴木友道は根岸史子の姿を見て大きく驚いた。全身が包帯で巻かれ、顔は目と鼻と口だけが見える状態だった。
露出している部分は火傷で変形し、恐ろしい姿になっていた。
「どうしてこんなことに…」鈴木友道はつぶやいた。
たった先ほどまで生き生きとしていた根岸史子が、今や目を覆いたくなるほどの姿になっていた。
鈴木知得留は首を振った。「私の希望は、もしかしたら潰えてしまったかもしれない」
根岸史子は植物人間ではないが、植物人間と変わらない状態だった。
話すことができないため、何も聞き出すことができない。
手は火傷で変形し、医師によれば火傷が治っても使うことは絶対にできず、字を書くことなどもってのほかだった。
はっきり言えば、外界を感じることができる以外は、植物人間と変わらない状態なのだ。
鈴木知得留の喉が動いた。
これほどまでの努力を重ね、ここまでやってきたのに、根岸史子の件で何か得られると思っていたのに、まさか、まさかこんな形で、何も得られないなんて。
納得できない。
唇を強く噛みしめ、胸が締め付けられるような思いだった。