M国。
寒々しい細雨が、止むことなく降り続いていた。
元々明るかった街灯が、一つずつ消えていき、最後の一つも強制的に消された。
夜の帳が下りた夜、辺り一面が真っ暗になった。
鈴木知得留は瓦礫の前に立ち、目を真っ赤にして、涙が止めどなく溢れ出た。
冬木空。
お前は強いんじゃなかったのか?
お前は凄いんじゃなかったのか?
今、地下に埋められているのに、這い上がってこいよ!
這い上がってこいよ!
鈴木知得留は涙で視界が曇り、喉が激しく痛んだ。
北村忠が突然言った。「公式の責任者に会って、もう一度話し合ってみる。俺たちは彼らのリソースを使って救助してないのに、なぜ止められなきゃならないんだ!」
諦めたくないという思いが伝わってきた。
全員が分かっていた。一度諦めれば、冬木空は死を待つしかない。
諦めなくても...実際はほとんど同じだった。
「無駄よ」鈴木知得留が口を開いた。
たとえ彼らの救助力を使わなくても、メディアはそうは報道しない。メディアが報道するのは、M国市民が金のために住宅地の命の緊急救助を放棄し、大量の労力をここの瓦礫の発掘に使っているということだ。たとえこれらの人々がここに現れなくても元々救助力の一部ではなかったとしても、一度救助を始めれば非難され、非人道的というレッテルを貼られることになる。
そしてこのようなレッテルのために、ここで救助活動をしている市民は体面を気にして救助を放棄し、M国の公式はポジティブな価値観を宣伝するために全面的な停止を要求するだろう。
これが現実社会だ。
メディアやネット民に支配される、歪んだ現実社会。
実際に何が起きたのかを深く追究する人はほとんどいない。ただ、みんなの共感を呼び、人々の目を引く方法で、拡散し、発散させ、事態を収拾がつかなくなるまで悪化させるだけだ。
鈴木知得留は唇を強く噛んだ。
喉が断続的に痛むが、必死に耐えていた。
この時、状況を分析すればするほど、無力さと絶望感が増していった。
北村忠は怒り狂い、それまで装っていた冷静さが一瞬にして崩壊した。「くそっ、なんでここなんだ。日本国だったら、命を賭けてでもこんなニュースを流させなかったのに。くそっ!くそっ!」
そう言いながら。
声が少し詰まったようだった。