第220章 無事帰国。鈴木知得留、私はあなたの愛しい夫ではないでしょう!

鈴木知得留は結局、冬木空を連れて日本国に戻ることになった。

もちろん、セキュリティチェックを通過したわけではない。

北村忠は非難の声の中、汗を流しながら冬木空の服を着替えさせた。

塩川実は冬木空に簡単な包帯を巻いた。

1時間もかからずに、準備が整った。

北村忠は冬木空を支えて立たせようとした。

彼は想像するだけでも痛みを感じた。

その時、冬木空が鈴木知得留に言った。「セキュリティチェックを通りたい」

鈴木知得留は頷いた。「それなら、北村に背負ってもらうのもいいけど、セキュリティチェックが面倒になるわ。係員は必ずあなたの体調を確認するはずだし、今の状態で飛行機に乗れる基準を満たせると思う?」

実は、帰国を決めたのは冬木空自身だった。

救急車の中で、冬木空は彼女の手を握っていた。

その握力は強かった。

彼女の想像とは違い、その時彼女は分かった。冬木空が伝えようとしていたのは、彼は大丈夫だということ、体は大丈夫だということだった。

そして彼はさらに力を入れて彼女を引き寄せ、彼女が彼の唇に近づくと、「帰国しよう」と言うのが聞こえた。

彼女は冬木空がなぜこの決断をしたのか分からなかったが、この決断をした以上、冬木空には必ず理由があるはずだと信じ、北村に直接空港へ向かうよう指示した。

彼女も冬木空の体を心配していた。特に商用車に戻った後、塩川実が診察して左脚の下腿骨が砕けていると言った時、冬木空がどうやってセキュリティチェックを通り、飛行機に乗れるのか想像もできなかった。

そのため、先ほど秋山静香が怒って彼女を責めた時、反論はしたものの、その瞬間、やはり不安を感じていた。できることなら、冬木空の怪我が治ってから帰国させたいと思っていた。

しかし冬木空は固執した。

そう固執した。

そして彼女は、彼を信じた。

静かな商用車の中で、冬木空は突然ため息をついた。

この時、秋山静香以外の全員が車の中にいた。

秋山静香はおそらく怒りの状態にあった。

そのため、秋山静香以外の全員が冬木空の言葉を聞いた。「僕は君の本当の夫じゃないんだろう」

鈴木知得留は彼をじっと見つめた。

帰国を決めたのは、あんたが言い出したんじゃないの?

彼女を板挟みにするなんて。

今、秋山静香が車の中にいたら、また大喧嘩になっていただろう。