第263章 その獣のような汚らわしい人間は、この村上紀文だけだ(3更)

「村上紀文、あなた狂ったの?!」渡辺菖蒲は信じられない様子で息子を見つめた!

「狂ってなんかいない!」村上紀文は強く言い返した。「これだけの年月、斎藤家への復讐は十分だ!」

「十分じゃない、どれだけやっても足りない!斎藤家の者を全員殺さない限り、私は決して諦めない!」

「なら、私たちは袂を分かつしかありませんね」村上紀文は断固とした答えを返した。「斎藤祐はもう死んだ。前の世代の恨みはここまでだ!父の死と斎藤咲子には何の関係もない。なのに私たちは、咲子が受けるべきではない罪を全て彼女に押し付けてきた。あなたが受けた傷の仕返しをするのなら、もう十分でしょう!今の斎藤咲子には、彼女の人生があり、幸せを追求する権利がある。私たちがとやかく言う立場じゃない。もしあなたが彼女への復讐を続けるなら、私はあなたの敵として立ちはだかります!」

「村上紀文、よくもそんな!」渡辺菖蒲は村上紀文の鼻先を指差し、顔を歪ませた。「たった一人の斎藤咲子のためにここまでするつもり?あなたが今さらこんなことをしても、斎藤咲子があなたと一緒になるとでも思ってるの?村上紀文、夢みたいなことを考えないで!斎藤咲子は今やあなたを心底憎んでいるのよ。この先一生、あなたと一緒になることなんてありえない!」

「彼女と一緒になれるなんて思ってません。そんな望みは持っていない!」村上紀文は声を張り上げた。

今回の事故で斎藤咲子が自分と母親の仕業だと確信することは分かっていた!彼女の心の中で自分がどれほど陰険で残虐な存在になってしまったかも、よく分かっていた!

この世だけでなく、来世も、何世でも斎藤咲子が自分を許すことはない。もう二度と一緒になることはできないのだ!

しかし。

それがどうした!

今の決断は、斎藤咲子の承認を得るためではない。

ただ、自分が正しいと思うことをするだけだ。

ただ、かつて彼女に与えた傷を償いたいだけなのだ。

「いいわ!」渡辺菖蒲の声は冷たかった。「そこまで決意が固いなら、そこまで薄情なら、そこまで私を母親とも思わないなら、私にもあなたなんて息子はいりません!村上紀文、これからは好きにすればいい。もうあなたの生死なんて知ったことではありません!出て行きなさい!」

村上紀文は渡辺菖蒲を見つめた。

彼女の目は血走り、恐ろしいほど赤かった。