第262章 私は君を友達だと思っていたのに、君は私に不純な心を抱いていた(3)

鈴木知得留は完全に衝撃を受けていた。

彼女はただ呆然と道明寺華の驚くべき行動を見つめていた。

自分の目を疑った。

道明寺華がどうして北村忠にキスするなんて。

二人の仲が良いことは認めるし、北村忠が最近頻繁に彼女を訪ねてくることも、北村忠のストレートな性格が道明寺華の好みに合って、二人が親友になったことも受け入れられる。でも...でも、こんな露骨な行為は受け入れられない。

ただ道明寺華に迎えに来てもらっただけなのに、どうしてこんなことに。

彼女は疑問に思った。道明寺華は好きという感情を理解しているのだろうか?キスが何を意味するのか本当に分かっているのだろうか?

こんなことをするなんて!

まだ18歳なのに。

鈴木知得留はその瞬間、道明寺華を北村忠から引き離したい衝動に駆られた。

しかし我慢した。

道明寺華は北村忠の唇から離れた。

北村忠もその瞬間呆然としていた。

まるで。

私はどこにいる?私は誰?何が起こったの?

ああ。

酔っ払ってる。

酔っ払ってる。

何が起こったのか全く分からない!きっと夢遊病だったに違いない!

道明寺華は全てを終えると、冬木心の方を向いて言った。「これからは、北村忠があなたの世界から消えるのではなく、あなたが彼に近づかないで!」

冬木心の表情は険しくなった。

木村文俊の手を握りしめ、抑えた怒りが見て取れた。

しかし爆発はしなかった。

冬木家で過ごしたこれまでの年月で身につけた教養と誇りがあり、道明寺華という18歳の少女と争う必要はないと考えた。

彼女は木村文俊の手を引いて立ち去った。

道明寺華は冬木心に対して、まるでいつでも喧嘩を始められる態勢を取っていた。

鈴木知得留はついに我慢できなくなり、前に出て道明寺華を北村忠の側から引き離した。しっかりと自分の側に引き寄せ、まるで自分の実の娘を奪われたような錯覚を覚えた。

彼女は本当に道明寺華を家族のように扱っていた。上野和明を師と呼び、命を懸けて戦ってきた彼女を、とっくに家族同然に思っていた。今この瞬間、全ては道明寺華が主導したとはいえ、どうしても我が家の華が損をしたように感じた。

彼女は道明寺華の手を引いて立ち去ろうとした。

道明寺華は拒否した。

「北村忠を送っていく」と彼女は言った。

「タクシーを呼ぶわ」