第269章 秋山家を引き込む(1)夫は君だけのもの

商業管理部の会議室にて。

田村厚は真剣に決意を表明していた。

野村松尾はとても満足げだった。

このプロジェクトへの満足だけでなく、田村厚の仕事に対する姿勢も高く評価していた。

彼は言った。「現地調査で原因を突き止めるのは確かに良いことです。ただし、この件については上層部に確認を取る必要があります。このプロジェクトは上層部から2ヶ月という期限を与えられており、このように時間を取られると、延期になる可能性があります。もちろん、時間については問題ありません。私個人としては、いい加減な仕事ではなく、すべてを最善を尽くすことを重視しています。そのため、とりあえず田村厚の意見に同意し、皆さんはその方向で準備を進めてください。私が報告した後、明確な答えを皆さんにお伝えします。」

「ありがとうございます、野村社長」田村厚は感謝の意を示した。「私たちは全力を尽くします。」

野村松尾は頷き、いくつかの事項を指示して、会議の終了を宣言した。

全員が会議室を後にした。

鈴木知得留は自分のオフィスに戻り、電話を取った。「田村厚、ちょっと来てください。」

そう言うと、すぐに電話を切った。

田村厚は携帯電話を見て、冷ややかに笑った。

彼は躊躇することなく、鈴木知得留のオフィスへ向かった。

田村厚は鈴木知得留の向かいに座り、二人が向かい合う中、鈴木知得留は率直に言った。「企画書はよく書けていました。」

田村厚は眉をひそめた。

彼は鈴木知得留がこのような言葉を口にするとは思っていなかった。

彼女が自分の許可を得ずに現地調査を申請したことについて、この機会に文句を言うと思っていた。

「過分なお言葉です」田村厚は少し笑って言った。「あなたが私を褒めるとは思いませんでした。」

「私は常に公私をわきまえています。良い仕事をした場合、上司として当然褒めます」鈴木知得留は言い、その瞬間、同じように笑みを浮かべた。「ただし、あなたの企画書があまりにも完璧すぎて、この企画書の真偽を疑わざるを得ません。」

「何が言いたいんですか!」田村厚の表情が変わった。

確かに、この企画書は彼が書いたものではなかった。彼にはこのような企画書は書けなかった。