第302章 人生の大半を過ごしてきたのに、まだ離婚すると思うのか?(2更)

北村邸。

北村雅は、自分が帰ってきたのは自ら恥をかきに来たようなものだと感じた。

酔っ払った自分を広橋香織が世話をしてくれるとは思っていなかったし、あの神経質な息子が人を気遣うはずもなかった。

ただ、彼らがこれほどまでに自分が出て行くことを望んでいるとは思わなかった。

この家から出て行くことを。

この何年間、一体この家に何か申し訳ないことでもしたというのか!

当時、二人には愛情がないまま結婚した。彼は林夢とうまくいっていたのに、大学時代に恋愛していることを両親に知られ、家柄の良くない林夢とすぐに別れ、家柄の釣り合う広橋香織と結婚するよう強要され、結婚後すぐに子供を作るよう迫られた。

その時、広橋香織はまだ20歳にもなっておらず、彼も21歳だった。

北村雅は両親に強要されて従ったものの、まだ納得できていなかった。なぜ自分の好きでもない女性と一生を過ごさなければならないのか、なぜ家族の取り決めに従わなければならないのか、なぜ自分の結婚さえも自分で決められないのか。だから林夢が酔って電話をかけてきた時、すぐに出かけていった。

その時、広橋香織は妊娠していた。

大きなお腹を抱えて。

彼女はただそうして、北村雅が嵐の夜に、何も考えずに彼女の部屋を出て行くのを見ていた。

北村雅が林夢を見つけた時、林夢は大雨の中で号泣していた。心を引き裂くような泣き方だった。

その夜、二人はホテルの部屋を取った。

その夜、彼は不倫をした。

その後、彼は後悔した。

深く後悔した。

彼は実は良い家庭教育を受けており、林夢と付き合っていた時でさえ紳士的に彼女に一切手を出さなかったのに、まさか自分が既婚者として不倫をするようなことをするとは思わなかった。

彼は最終的に、林夢に金を渡して留学させることにした。

その夜起きたことは、なかったことにしようと。

しかし。

彼は、林夢とホテルを出た時に、大きなお腹の広橋香織がそこに立っているのを見て、彼らをじっと見つめているのを見るとは思わなかった。

北村雅はその瞬間、完全に頭が真っ白になった。