社長室。
塩川真は意図的に注意を促していた。
斎藤咲子もしばらく考え込んでいた。
この一年間、確かに疲れていた。今も疲労を感じていたし、塩川真にもそう言われて、自分が極端すぎたのではないかと疑問に思い始めた。部下に任せて、負担を分散させるべきなのかもしれない。
彼女は口元に薄い笑みを浮かべた。「あなたの言う通りね。私一人で一生やっていくわけにはいかないわ。こんな大きなグループを、私の意志だけで長期的に運営していくのは無理だわ」
塩川真は頷いた。
「でも今は、斎藤グループの人々を完全に信頼することはできないの。渡辺菖蒲は今のところ大きな波風は立てていないけど、彼女が裏で取締役たちと結託して、私を斎藤グループから追い出そうとしているのは否定できないわ。この時期に仕事を手放したら、渡辺菖蒲が何か策を講じる可能性が高いわ」