第354章 矛盾激化（6）直接の黒幕を特定

邸宅の中。

不気味な恐怖の気配が漂っていた。

傍らの使用人は魂を抜かれたように怯えていた。目の前の光景を凝視し、まばたきすら恐ろしくてできなかった。

渡辺菖蒲の顔は真っ赤だった。突然の息苦しさと抵抗で、その顔は恐ろしいほど歪んでいた。

村上紀文の指に力が入り、冷血な表情を浮かべていた。

渡辺菖蒲の顔は完全に歪み、もはや言葉も出なくなりかけていた。呼吸が段々と困難になり、断続的に声を絞り出した。「紀文、お前が...私を殺すのね...斎藤咲子のために...私を殺しても...咲子も...良い目には...あわない...せいぜい...私たち...三人とも...道連れよ！」

村上紀文の血に飢えた表情に変化はなかった。

その瞬間、本当に殺意に満ちていた。

制御不能になり、母親を殺そうとしていた。

彼女を殺せば、斎藤家との因縁も、すべて終わる！

しかし...

結局、理性を取り戻した。

結局、母親の息の根が止まりそうな瞬間を目の当たりにして、手を放した。

手を放すと、表情は暗く沈み、手は震えていた。

自分が本当に母親を殺しかけたことを、はっきりと自覚していた。

おそらくいつか、耐えられなくなったその日に、本当にそうしてしまうかもしれない。

彼は恐ろしいほど冷たい表情で母親を見つめ、先ほどの乱暴な行為で咳き込み涙を流す彼女の姿を見つめた。

渡辺菖蒲は少し落ち着きを取り戻すと、息子を憎々しげに見つめ、彼の残虐な態度を見据えた。

「なぜ殺さないの？殺しなさいよ！」渡辺菖蒲は嗄れた声で、さらに村上紀文の感情を煽り立てた。

村上紀文の握り締めた両手は震え続けていた。

「私を殺せば斎藤咲子に手を出さないと？村上紀文、本当に殺せるのなら殺してみなさい！」渡辺菖蒲は心を引き裂くような叫び声を上げた。

邸宅全体に彼女の声が響き渡り、その歪んだ声が反響していた。

渡辺菖蒲の感情も極限に達していた。

怒りに満ちた目で息子を睨みつけた。

たった一人の斎藤咲子のために、たった一人の斎藤咲子のために、紀文は彼女を殺そうとした。

そして彼女にはよくわかっていた。紀文は先ほど本当に彼女の命を奪うところだった。本当に斎藤咲子のためにここまでするつもりだったのだ！

「母さん。」村上紀文が突然呼びかけた。