第355章 矛盾激化(7)斎藤咲子の行方(2更)

警察の交通監視カメラでも見つけられない容疑者。

高級住宅地の管理人でも捕まえられない容疑者。

この男は一体誰なのか?!斎藤咲子の周りに潜伏し続ける目的は何なのか。

彼は目の前の写真を全て見つめた。

似ている点だけを見てはいけない。

この人物は万全の準備をしているはずだ、本来の姿を見破られるはずがない。

写真を見ながら彼は尋ねた。「警備員の中で、誰が一番腕が立つんだ。」

「腕の話なら……」警備主任は考え込んで、「松本泰弘でしょうね。元軍人で、我々の中で一番の実力者です。」

軍人。

村上紀文の目が鋭く光った。「この中の誰だ?」

「この人です。」警備主任はある男の写真を指さした。

男の職員写真には、警備員の帽子と制服を着用し、坊主頭で髪が短く、体格はそれほど大きくなかった。

村上紀文は彼の写真と映像の人物を照らし合わせながら尋ねた。「結婚してるのか?子供はいるのか?」

「いないと思います。」警備主任は答えた。「40代ですが、ずっと独身です。でも人柄は温厚で、同僚の交代勤務も頼めば必ず引き受けてくれます。特に夜勤は、時には無条件で同僚の代わりを…」

村上紀文の表情が引き締まった。警備主任を見つめ、「夜勤だと?」

「はい。」警備主任は頷いた。その時、村上紀文の疑いに気付いたようで、「まさか松本さんを疑っているんじゃないですよね。そんなはずありません。彼は誰に対しても親切な人です。上半期の優秀社員にも選ばれました。とてもいい人で、絶対にあなたの妹さんを誘拐するような人じゃありません。」

「ああ。」村上紀文は頷いた。

警備主任は続けた。「実は私も映像の人物を見ましたが、我々の警備員とは似ている者は一人もいません。もし我々の中にいれば、一目で分かるはずです。この中には絶対にいません。」

村上紀文は写真を置き、「私の考えすぎかもしれない。」と言った。

警備主任は頷き、彼らの中にそのような人物がいるはずがないと確信しているようだった。

「そうだ、警備員全員の詳細な情報を見せてもらえないか。可能性のある手がかりを見逃したくないんだ。」

「構いませんが、個人的には我々の警備員とは無関係だと思います。全員正規の採用手続きを経て入社しており、怪しい者は混じっていません。」

そう言いながらも、警備主任は全員の情報を取り出した。