第421話 兄が本気を出したら、怖いぞ!(2番目)

部屋の中。

静かで、とても静かだった。

世界全体が静まり返っているようだった。

もし虎が抗議し始めなければ……

彼は道明寺華をじっと見つめ、彼女の頬が薄く赤らんでいるのを見た。

この女も恥ずかしがることがあるのか?

彼ののどが動いた。

虎の泣き声はさらに激しくなった。

北村忠は虎を抱き上げ、部屋の中を行ったり来たりしながら、あやしていた。

そして呟いていた。「ママを取られるのが怖いの?この小さなライバル……」

ライバル?!

道明寺華は北村忠を見つめた。

ライバルって、二人が同じ人を好きな時に使う言葉じゃないの?!

北村忠は、二人とも彼女のことが好きだと言っているの?

なぜかわからないけど。

心臓の鼓動が速くなった。

まるで5キロ走ったかのように、制御できないほど激しくなった。