第441章 北村忠の罠、木村文俊が落とし穴に落ちる（その1）

北村忠は北村系に戻った。

自分のオフィスの前に来て、加賀玲奈に指示を出した。「ちょっと入ってきて」

加賀玲奈は急いで後に続いた。

北村忠は自分の椅子に座り、加賀玲奈に言った。「いくつか指示があるから、しっかり覚えておいて」

「はい」

「まず一つ目、午後5時に、東京の有名なメディアを全て呼んで、記者会見を開く」

「また開くんですか？」加賀玲奈は思わず口走った。

北村忠は眉を上げた。

「ただ、社長はこの頃動きが多すぎると思います。こんなに頻繁にニュースのトップを飾るのは、大衆の審美疲労を引き起こしかねません。露出は確かに重要ですが、頻繁すぎると逆効果になります。だから、些細なことで毎日露出する必要はありません。それは市場価値を消耗させているだけです。あまり価値がないと思います」加賀玲奈は小声で提案した。

冬木心のためにそこまでする価値があるのでしょうか？！

冬木心はあの時そんなにも拒絶したのに、少しは強気になれないのでしょうか？

それに、こんなことをして、奥様をどんな立場に置くつもりなんですか？！

北村忠は助言を聞き入れず、淡々と言った。「私なりの分別がある」

まあいいでしょう。

どうせあなたがボスなんだから、あなたの言う通りです。

「二つ目、今回の『天の堂』の具体的な業務には私はあまり関われないし、関わりすぎてもいけない。プロジェクトチームの全ての事項について、私がリストを作成し、あなたが全権を持ってプロジェクトチームメンバーとの連絡を担当してください。何か問題があれば直接私に報告し、できるだけ一度にまとめて報告してください。私は別途時間を取って『天の堂』の件についてあなたと話し合います」

「つまり、社長は今週は『天の堂』プロジェクトに関わらないということですか？」加賀玲奈は少し感情的になった。

ここまで頑張ってきたのに、突然手を引くなんて？！

一体何のつもりなんですか？！

うちの社長はいつか女性のことで失敗するに違いない！

「私の指示通りにやればいい」北村忠は説明を避け、さらに指示を出した。「三つ目、この期間中に『天の堂』の広告スポンサーシップやその他の協賛の話が来ても、全て断ってください」

「社長、これは番組の最大の収入源ですよ。考慮しないんですか？」加賀玲奈は飛び上がりそうになった。