北村忠はそのまま北村英を見つめていた。
北村英は異常なほど親しげな様子で、「忠、叔母さんの顔を立てて、従兄弟を助けてあげなさい。安心して、今回のことで従兄弟も反省したわ。これからは二人で北村系を管理すれば、もうこんなことは二度と起こらないわ。従兄弟が執行猶予になって刑務所に行かなくて済めば、あなたの望む条件なら何でも言って!」
「特に条件はありません」と北村忠は口を開いた。
「つまり承諾してくれるのね」
「つまり承諾しないということです」
「北村忠!」北村英は怒りを抑えながら、「結局私たちは親族なのよ。見殺しにするなんてできないでしょう」
「なぜできないんですか?!」
「北村忠!」
「叔母さん、もう私に期待しないでください。私はいつも無神経だと言われますが、誰が私に良くしてくれて、誰が私に悪くしたか、はっきり覚えています。私に悪いことをした人には...本当に同情心なんて一切ないんです。全くないんです!」と北村忠ははっきりと言い切った。
「じゃあ本当に親族の情も捨てたというの?!」
「あなたたちから学んだことですから」と北村忠は薄く笑った。
「後悔するなよ!」と北村英は激しく言い放った。
わずか数言で北村忠に激怒させられた。
「後悔しても私の勝手です」
「本気なの?」北村英は北村忠を脅し続けた。
北村忠は無関心そうに頷いた。
北村英は怒りで体を震わせていた。
井上明は母親の腕を引っ張りながら、「もう頼むのはやめましょう。奴は出世の味を覚えただけです!いつか見返してやります!」
北村英もこの時ばかりは我慢できなかった。
一人の北村忠が彼女に対して態度を取るなんて、この憤りは飲み込めなかった。
「行くわよ」井上明は母親を連れて立ち去った。
北村忠は口元で笑った。
時には本当に理解できない、こんな状況でもまだこんなに強圧的になれるなんて、自分の立場が本当にどういうものか理解していないんだろう?!
北村英と井上明は衆人環視の中、北村系を後にした。
この期間は本当に面目を失った。
北村英はほとんど怒り死にそうだった。
今日プライドを捨てて北村忠に頼みに来たのに、かえってこんな扱いを受けて追い出されるなんて、考えただけで腹が立った。