第454章 北村英親子の北村忠の前での狼狽(2更)

夜の北村邸のホール。

広橋香織は厳しく言った。「小さなことを大げさに言うのはやめなさい。明日の午後3時が最後よ!」

「分かりました」北村忠は頷いた。「じゃあ、お母様、もう部屋に戻って寝てもいいですか?本当に眠くて死にそうです」

広橋香織は頷いた。

その瞬間、息子の疲れ切った様子が本当によく分かった。

心の中で自然と心配になった。

この数日間のニュースも見ていた。あのバカな息子がこんな能力を持っているなんて信じられなかったが、北村系をこうして完全に引き継いでしまうなんて。彼女は破産の準備までしていたのに、息子はなんとか持ちこたえ、しかもこんなにうまくやってのけた。

北村雅は長年、北村英母子を追い出せなかった。もちろん、一つには北村雅が親族の情を考慮したからだが、北村英と井上明の母子が共謀して陰険な策略を巡らしていたことも否めない。息子は彼らの計略に引っかかるどころか、逆に完璧に出し抜いてしまった。この能力は、彼女も内心認めざるを得なかった。

確かに仕事面では成果を上げ、今やメディアの北村忠に対する態度も一方的に賞賛と尊敬に変わり、一時は「重要人物」として注目を集めるほどになった。しかし結局のところ、北村忠の感情面については依然として心配が尽きなかった。

この結婚式の準備を進めれば進めるほど、何か落ち着かない気持ちになった。

最初から最後まで彼女だけが積極的で、息子も道明寺華も冷静すぎるように見えた。これは彼女が結婚したいのか、それとも息子が結婚したいのか!

まあいいか。

広橋香織も割り切れた。

北村忠がどんなに不本意でも、約束したことは反故にしないだろう。

息子に無理に積極的で興奮した様子を見せろとは言う必要はない。自分の選択を理解していればそれでいい。

北村忠は静かに寝室のドアを開けた。

道明寺華は眠っていた。

いつからか、道明寺華は彼を待たなくなっていた。

記憶では彼が待たなくていいと言ったはずだった。道明寺華というこの薄情者は、本当に言うことを聞くようになった。

多少不満はあったが、本気で気にすることもなかった。

彼はバスルームに入り、湯を張って浴槽に横たわった。

この数日間は本当に忙しかった。

『天の堂』という番組に本当に心血を注いでいたため、もう結婚することすら忘れていた。

あと3日。