第469章 北村忠、今後うちに来ないで(2)

エレベーターが到着した。

北村忠は道明寺華の玄関まで歩いた。

しばらくそこに立ち尽くしていた。

突然緊張して、ドアをノックする勇気が出なかった。

深く息を吸い、手を上げ、インターホンを押した。

しばらくしてからドアが開いた。

加賀さんが慌てて走ってきて、北村忠を見た瞬間驚いた様子で、「坊ちゃま、どうしてここに?」

「母さんはここにいますか?」北村忠は尋ねた。

「奥様はいらっしゃいます。」加賀さんは深く考えずに正直に答えた。

北村忠は予想通り、母がここに来ているのを確信した。

虎と離れて長い時間が経ち、きっと会いたくなったのだろう。

彼は言った、「母を迎えに来ました。」

「お入りください。奥様と華さまは部屋で虎ちゃんの寝かしつけをしています。坊ちゃまも数日会っていないでしょう、中でご覧になってはいかがですか。」加賀さんは親切に言った。