第475章 北村忠、私は道明寺華で冬木心ではない(2更)

食事は2時間以上かかった。

宴会が終わった。

全員がホテルを出た。

玄関の前には、それぞれの車が停まっていた。

北村忠は両親に向かって積極的に言った。「まず、お二人を送りましょう。」

「いいえ、結構です。」広橋香織は大きな声で言った。「いいえ、いいえ、あなたと冬木心さんがお帰りになればいいです。私たちのことで手を煩わせる必要はありません。私たちは自分で帰ります。」

北村忠は母親を見つめた。

広橋香織は平然として、「あなたは心さんとよく過ごして、心さんの面倒を見てあげてください。私たちのことは気にしないで。結婚式はいつだったかしら、忘れないように教えてくださいね。そうそう、普段は電話もかけないで、家にも帰ってこないで。今、私は妊娠しているから、刺激に耐えられないの。いいえ、人が多いのに耐えられないの。年を取るにつれて、本当に騒がしいのが苦手になってきたわ。」

北村忠は唇を噛んだ。

母親は本当に彼に対する嫌悪感を隠そうともしなかった。

というより、彼と冬木心に対する嫌悪感を。

明らかにこれからは家に帰ってくるなと言っているのだ。

彼は何も言わなかった。

冬木心はそれを聞いて、耳障りに感じたが、幸い彼女には教養があったので、彼らと争う必要はないと思った。

それに。

彼女の心の中では常に、北村忠の両親は道明寺華に騙されているだけだと深く信じていた。真相が明らかになれば、彼らは自然と彼女を受け入れてくれるはずだと。

「もう遅いので、私たちは先に失礼します。医者に高齢妊婦だと言われているので、早く寝なければ。」広橋香織は声をかけ、北村雅の手を引いて、「私たちは先に帰ります。」

一秒でも長く居たくないという様子だった。

加藤渚はこの時、急いで社交辞令を言った。「お気をつけて。」

広橋香織は頷き、北村雅に支えられて車に乗る直前に、突然鈴木知得留の方を向いて、「知得留さん、時間があったら叔母さんの家に遊びに来てね。あなたのお友達、なんていったかしら...」

「斎藤咲子です。」鈴木知得留は急いで答えた。

「そう、咲子ちゃん。私はあの子が大好きなの。時間があったら家に来てね。叔母さん一人で家にいると退屈で仕方ないの。」

「はい。」鈴木知得留は非常に熱心に答えた。

冬木心の顔は青ざめていた。

北村忠も呆れていた。