第484章 天秤(その3)

金田貫一が逮捕されたニュースは、一瞬にして波紋を広げた。

商業管理機構のチーフであり、舵取りの最も近い人物が突然逮捕されたことで、外部は騒然となった。

事情を知らない野次馬たちは様々な憶測を巡らせ、真相を待ち望んでいた。

東京のメディアも総出で、競って最新の内幕を手に入れようとしていた。

青木晴人はこのニュースを受け取った時、しばらく我に返れなかった。

父がどうして逮捕されるはずがあるのか、あれほど慎重な父が、どうして突然把柄を掴まれるはずがあるのか、昨夜一体何が起きたのか。

そして今、自分は何をすべきなのか。

外出ルートにはメディアが待ち構えており、今も秘書に電話をかけて状況を問い合わせているが、どう答えればいいのかさえわからない。

「青木さん」青木晴人の側近で、金田貫一の側近でもあった人物が外から入ってきて、恭しく言った。「今は金田さんに会うことが最も重要です。」