金田貫一は港に到着した。
この時、大きな船が港に停泊しており、荷物を積み込んでいた。
「金田さん、出航まであと30分です」部下が注意を促した。
金田貫一は窓の外を見た。
彼は電話を取って、「周辺に不審者はいないか確認したか?」と尋ねた。
「確認済みです」
金田貫一は慎重に物事を進め、不確実な要素は絶対に許さなかった。
彼は「冬木空はまだ見つからないのか?」と聞いた。
「はい」
「あと10分やる!」
「承知しました」
金田貫一はまだ車から降りなかった。
絶対的に緊急な状況でない限り、彼は自身の安全を完全に確保するのだった。
5分後。
向こうから電話がかかってきた。「見つかりました」
金田貫一は眉をひそめ、「どこだ?」
「戻りました」
「戻った?」金田貫一は驚いた。「諦めたのか?」
「手がかりがなかったので、諦めたのでしょう」
「冬木空はそう簡単に諦める男ではない」
「しかし、周辺に不審者は一切おりません。あなたのいる場所には今朝早くから人員を配置し、他の人物は確認されていません。船が接岸した時点で、船内の全員を確認し、先ほども再確認しましたが、人数に過不足はありません。また、井上明が連れてこられ、北村英が同行して目的地まで来ましたが、尾行される様子もありませんでした」と報告があった。
「分かった」
金田貫一は電話を切った。
冬木空がこのように諦めるとは信じがたかったが、あらゆる面から見て異常はなく、もしかすると、冬木空は賢明にも今夜は自分の居場所を見つけられないと悟り、時間を無駄にしたくなかったのかもしれない。
金田貫一はまだ車の中に座ったまま、動じる様子を見せなかった。
部下が注意を促した。「金田さん、あと10分です」
「ああ」金田貫一は相変わらず淡々と応じ、そして、ゆっくりと「降りる」と言った。
「はい」
部下は急いで車を降り、金田貫一のためにドアを開け、その後ろについて歩いた。
金田貫一は港の一角へと歩いていった。
そこでは井上明と北村英が拘束され、数人が金田貫一を待っていた。
井上明は金田貫一を見るなり興奮した。「何をするつもりだ?青木晴人は一体何をさせているんだ!ごまかすな、言っておくが、俺に何かしようものなら、青木晴人と道連れにしてやる!」