北村忠は飛び上がりそうになった!
彼は怒りに燃えて、目の前の道明寺華と兄弟子を見つめた。二人が明らかにぴったりと抱き合っているのを見て。
彼は道明寺華とこんな風に抱き合ったことなどない!
北村忠は大声で叫んだ、「お前たち、何をしているんだ!」
道明寺華は眉をひそめた。
兄弟子も北村忠を見つめた。
道明寺華は兄弟子から離れ、兄弟子の手を引いて外へ向かった。
北村忠は怒り心頭だった。
道明寺華のやつ、自分を全く眼中に入れていない、そう思った。
怒りが込み上げてきた。
北村忠は突然前に出て、兄弟子の顔面に思い切り拳を叩き込んだ。
兄弟子と道明寺華は一瞬呆然とした。
北村忠は彼らを睨みつけ、挑発的な態度を取った。
「野イチゴを私に渡して」と道明寺華が言った。
兄弟子は頷いた。
彼は手に持っていた野イチゴを道明寺華に渡した。
次の瞬間、強烈な一蹴りが北村忠の腹部に放たれた。
北村忠は兄弟子の蹴りを受け止めたものの、後ろのドアに激しく叩きつけられた。
北村忠は痛みに耐えながらも止まらず、前に出て兄弟子と殴り合いを始めた。
兄弟子は最初、北村忠が弱いと思っていた。何もできない男だと思っていたが、意外と実力があることに気付いた。最初は手加減していたが、北村忠に実力があると分かると、本気で戦い始めた。
北村忠は最初、兄弟子と互角に戦えると思っていたが、今では明らかに太刀打ちできなくなっていた。
兄弟子の拳と蹴りで激しく殴られ、最後には倒れ込んでしまった。
倒れても尚も必死にもがいていた。
まるで納得がいかないかのように。
「離せ、離せ!」北村忠は怒鳴った。
兄弟子は北村忠を押さえつけながら、厳しい口調で言った。「二度と華を苛めるな!」
俺が彼女を苛められるわけないだろ!
兄弦子は北村忠から手を放した。
北村忠はその時、地面から起き上がることもできなかった。
必死にもがいた。
目の前で道明寺華と兄弟子が去っていくのを見つめた。
武道の心得がある者なら分かるが、兄弟子は北村忠を殴る時、かなり加減していた。致命的な箇所は一切打っておらず、ただ体の痛みを与えただけで、大したことはなかった。
道明寺華と兄弟子は兄弟子の部屋に戻った。
道明寺華は野イチゴを食べた。
懐かしい味だった。