第466章 私たちのことに、華を巻き込まないで(2)

記者会場は騒然としていた。

北村忠の発言に、記者たちは一斉に沸き立った。

記者たちは口々に尋ねた。「北村会長は冬木心を守ろうとしているのですか?」

「北村会長は道明寺華のことが好きではないのに、なぜ彼女と一緒にいたのですか?それは彼女に対して不公平ではありませんか?」

「北村会長、あなたの行動は行き過ぎだと思いませんか?冬木心と付き合っているのに、以前の道明寺華は一体何だったのですか?」

会場では、依然として道明寺華への同情の声が上がっていた。

北村忠は反論しなかった。

自分を弁解しようとは思わなかった。

「私の未熟な行動が道明寺華を傷つけ、冬木心にもこれほどの苦痛を与えてしまいました。彼女たちに深くお詫び申し上げます。ここで...」北村忠は言葉を途切れさせた。

少し声を詰まらせ、何か言いたいことがあるようだった。

騒々しかった会場が、突然静まり返った。

北村忠が重要な発言をしそうだと感じ、全員が固唾を飲んで見守っていた。

北村忠は、マイクに向かってはっきりと言った。「私と冬木心は今月27日に結婚します。」

この発言は、まさに会場を爆発させた。

全員が聞き間違いだと思った。

ある記者が大声で、名前を呼び捨てにして怒鳴った。「北村忠、あなたのやり方は酷すぎませんか?道明寺華のことが好きでないにしても、彼女との結婚を台無しにした直後に別の女性と結婚するなんて、男として最低だと思いませんか?」

「道明寺華のことが好きでなくても、彼女はあなたの子供を産んだのです。ただ冬木心があなたと付き合うことを承諾したからといって、彼女の気持ちを完全に無視するなんて、あなたは本当に最低な男だと思いませんか?」

「北村忠、私は道明寺華があなたの元で経験したすべてが報われないと思います。」

会場では、彼を疑問視し、非難する声が次々と上がった。

北村忠は何も言わなかった。

彼は立ち上がり、目の前の記者たちに一礼して、そのまま立ち去った。

加賀玲奈は出口で彼を待っていた。

彼の様子を見て、胸の内で「クズ男」と罵ろうとした言葉が喉に詰まった。今の社長には少しの喜びもなく、むしろ彼女には、彼が今はただの途方に暮れた大きな子供のように見えた。どうすればいいのかわからず、事態をこのまま進展させ、悪化させていくばかりだった。