道明寺華は午後に病院へ行った。
やっと虎にミルクを飲ませることができた。泣き疲れて眠くなってから、ようやくぼんやりと少し飲んでくれた。
完全に寝入ってから、道明寺華は急いで病院へ向かった。
彼女は虎の小児科医を見つけ、自分の状況を説明した。
小児科医は薬を処方し、多くの注意事項を伝えた。よく休養を取るように言われ、この症状には特効薬はなく、自分自身で乗り越える必要があると説明された。
道明寺華は長居せず、診察が終わるとすぐに帰り支度をした。
虎が目を覚ましたとき、加賀さん一人では手に負えないのではないかと心配だった。
病院の正面玄関に向かい、タクシーで帰ることにした。
彼女は考えた。車を買わなければならないな、さもないと不便すぎる。
以前は鈴木知得留の車を使っていて、その後北村家に行ってからは北村家の車を使っていた。今は一人暮らしだから、自分の車を買わなければならない。
そう考えながら。
口座にまだ少しお金が残っているはずだと思い出した。
当時、鈴木知得留から持参金として666万円をもらい、北村忠のために礼服を買って100万円以上残っているはず。車を買うには十分だろう。
車についてもあまり詳しくないし、そもそもお金についてもあまり概念がなかった。
武道寺を出てから、お金に困ったことはほとんどなかった。
やっとタクシーを捕まえ、マンションの入り口で止まった。
道明寺華は料金を支払い、車から降りた。
その瞬間、突然大勢の記者に囲まれた。
道明寺華は眉をひそめた。
なぜ突然こんなに多くの記者が来たのかわからなかった。
記者たちは彼女をぴったりと囲み、通せんぼした。
口々に様々な質問を投げかけてきた。
ほとんどが昨日の北村忠との結婚式についてだった。
「道明寺さん、昨日の北村忠さんとの結婚式が行われなかった理由を教えていただけませんか?なぜ突然このマンションに戻ってきたのですか?北村忠さんとの間に何があったのですか?」
「北村忠さんが突然気が変わって結婚を取りやめたのですか?」
「北村忠さんがまだ冬木心さんのことを好きで、あなたを見捨てたのですか?」
「冬木心さんが北村忠さんを誘惑したのですか?道明寺さん、お答えください。」
道明寺華は記者が大嫌いだった。
本当に嫌いだった。