鈴木知得留のオフィスにて。
「何の用?」鈴木知得留はこれ以上考えないようにして、話題を変えた。
「これは青木晴人の犯罪証拠の原本だ。彼の直筆のサインもある」
鈴木友道は書類を鈴木知得留に渡した。
鈴木知得留は受け取って目を通し、弟の仕事の効率の良さに本当に満足した。
実際、この数年間、弟は父親に育てられてきた。商業管理部に来てからの時間は短いものの、能力は確かに優れていた。
父親がどんな人物であれ、結局のところ、家族に対してはそれほど悪くはなかった。だから今、父親の行動に失望していても、彼女は依然として父親を、とても大切な家族として見ていた。
「よし」鈴木知得留は書類を自分の金庫に入れた。
鈴木友道は尋ねた。「次はどうする?」
人証物証が揃った以上、青木晴人は完全に終わりだ!
鈴木知得留は微笑んで「縁起の良い日を選ぼう」
「……」都会の人は、本当に面白いことを考えるな!
鈴木友道は鈴木知得留のオフィスを出た。
鈴木知得留は北村忠に電話をかけた。
北村忠はオフィスに座り、目の前の資料を見ていた。
着信を見て、電話に出た。「鈴木知得留」
「ニュースを流してほしいの」
「お前と冬木空の間に子供ができたのか?」
「バカね!」
「じゃあまだか」北村忠は小声で呟いた。「まだでよかった。嫉妬せずに済む」
「前はそんなに小心者じゃなかったのに。どうしたの?冬木心との関係がうまくいってないの?」
「考えすぎだ」
「冬木空の言う通りよ。自分で選んだ道だから、糞だって飲み込まないと」
「……」楽しい会話はもうできない。北村忠は少し怒り出して「結局ニュースを流すのか流さないのか?!」
「旧市街地の再開発で、手抜き工事の疑いがあるって」
「証拠はあるのか?」
「あるけど、今は渡せない」
「つまり、まずニュースで盛り上げろってことか」
「うん」
「わかった」
鈴木知得留は最近、北村忠の仕事ぶりを信頼していた。彼女の意図を詳しく説明しなくても理解してくれる。ただ、彼の恋愛事情がどうなっているのか気になっていた。冬木空の言う通り、女性の人生には常にゴシップが付きまとうものだ。
彼女は言った。「道明寺華が恋をしているって知ってる?」
「でたらめを言うな」北村忠は少し怒り出した。