鈴木山の事務所の中。
鈴木知得留は真摯に話したが、鈴木山の心の中ではそれが偽りの言葉に聞こえた。
ただ冬木空を上に立たせるためだけだと。
しかし彼はそれを隠した。
「うん、お父さんはお前を信じている」と彼は言った。
鈴木知得留は深くうなずいた。
彼女は父親が本当に、心から真剣であってほしいと願っていた。
家族でしばらく話をした。
鈴木知得留と鈴木友道は事務所を出た。
「お父さんはそう簡単に諦める人じゃないと思う。姉さん、あまり信用しない方がいいよ」と鈴木友道は姉を引き止めて言った。
「わかってる」鈴木知得留はうなずいた。
父親がこんな大きな利権を簡単に手放すはずがないことは分かっていた。でも、すべてが既成事実となれば、諦めたくなくても受け入れるしかない。徐々に受け入れていくだろう。