第518章 嵐の前の静けさ(1更)

青木晴人は狂った。

商業管理部は舵取りを失った。

青木家族が長年管理してきた商業管理機構が、一瞬にして完全に崩壊するとは誰も想像できなかった。

商業管理機構は舵取りを失った後、最も権限のある二人の首席、鈴木山と秋山文雄が残された。二人とも対外的に、一時的に舵取りがいなくても商業管理機構を全力で支えていくと宣言し、このまま無統制な状態にはさせないと約束した。

現在、商業管理機構の舵取り候補は鈴木山と秋山文雄に集中している。最も支持が高いのは鈴木山で、この期間、頻繁に公の場に姿を現し、この地位に対して積極的な姿勢を見せている。一方、秋山文雄は時折鈴木山を称賛する発言をしており、このことから、誰もが商業管理総統括者の座は早晚鈴木山のものになると考えている。

鈴木知得留もこの期間、父親の積極的な態度と興奮を目の当たりにしていた。