静かな病室の中。
道明寺華は虎をじっと見つめ、加賀さんも付き添っていたが、年齢のせいか、付き添いながらそのまま横で眠りについてしまった。
昨夜もほとんど虎のために一睡もしていなかった。
北村忠と冬木心は反対側に座り、同じように静かに虎に付き添っていた。
時々、耳式体温計で虎の体温を測っていた。
そうやって何度も繰り返していた。
道明寺華の電話が鳴った。
着信を見た瞬間、彼女の表情に苦悩の色が浮かんだ。
電話に出る。「Joe」
北村忠は道明寺華を一瞥した後、すぐに視線を虎に戻した。
冬木心も同じように道明寺華を見た。
道明寺華は電話を続けた。「うん、少し良くなったわ。体温は38度6分まで下がって、医師は39度を超えなければ問題ないって」
「そう、それは良かった。じゃあ、今は帰ってきたの?」