第522章 華が北村忠に世話を頼む(2番目)

静かな病室の中。

道明寺華は虎をじっと見つめ、加賀さんも付き添っていたが、年齢のせいか、付き添いながらそのまま横で眠りについてしまった。

昨夜もほとんど虎のために一睡もしていなかった。

北村忠と冬木心は反対側に座り、同じように静かに虎に付き添っていた。

時々、耳式体温計で虎の体温を測っていた。

そうやって何度も繰り返していた。

道明寺華の電話が鳴った。

着信を見た瞬間、彼女の表情に苦悩の色が浮かんだ。

電話に出る。「Joe」

北村忠は道明寺華を一瞥した後、すぐに視線を虎に戻した。

冬木心も同じように道明寺華を見た。

道明寺華は電話を続けた。「うん、少し良くなったわ。体温は38度6分まで下がって、医師は39度を超えなければ問題ないって」

「そう、それは良かった。じゃあ、今は帰ってきたの?」

「いいえ、医師が入院させておくって。熱が繰り返し出るのを心配してるの。虎は早産児だから、普通の赤ちゃんとは違って、もっと繊細なの」

「僕が見に行った方がいい?」

「ううん、明日は全国大会だから」道明寺華は急いで断った。「あなたは試合に集中して」

「うん」相手は頷き、何か言いたげな様子だったが、最後にゆっくりと言った。「じゃあ虎をよろしく頼む。明日の試合のことは気にしなくていい」

道明寺華は実は少し申し訳なく感じていた。

数秒の沈黙の後、彼女は「分かった」と言った。

仕事と子供の間で。

やはり子供を選ぶことにした。

電話を切ると、道明寺華の心にはまだ罪悪感が残っていた。

決勝戦を目前に控え、これまでの試合には全て参加してきた彼女のジャングラーとしての力は大きく、今彼女がいなくなって、誰が代わりを務められるのか分からない。

そう考えていると。

また電話が鳴った。

チームメイトからだった。興奮した様子で、「華、キャプテンから聞いたんだけど、明日の全国大会に出ないって本当?」

「ちょっと用事があって出られなくなった」