「でも、私の二の舞は踏んでほしくないの」広橋香織は真剣に道明寺華に言った。
道明寺華は微笑んで、「うん、分かってる」
彼女は広橋香織が何を言おうとしているのか分かっていた。
彼女と北村忠は...本当に無理なのだ。
「でも...」広橋香織は言いかけた言葉を飲み込んだ。
でも。
やはり彼女に戻ってきてほしい。
やはり彼女に息子の嫁になってほしい。
道明寺華は広橋香織を見つめた。
彼女の言いよどむ様子を見つめた。
広橋香織は笑って、「なんでもない」
北村忠が失くしたのは当然だわ。
道明寺華もそれ以上は聞かなかった。
北村雅は広橋香織のそばで忙しく立ち回り、自分でできることは絶対に人任せにしなかった。
まさに模範的な夫という感じだった。
道明寺華は病院で広橋香織に付き添い、虎と遊び、普通は一日中そこにいた。