その後、広橋香織は病院に入院した数日間。
道明寺華は毎朝早くから病室に来て香織に付き添い、夜遅くまで帰らなかった。
時にはJoeも一緒に来て、時には来なかった。
来ない時は、チームメンバーの訓練があったからだ。今回の試合は辞退したものの、2ヶ月後に海外の有名クラブの小規模な試合があった。小規模とはいえ、そのクラブからは二つの全國チャンピオンチームと三つの準優勝チームを輩出しており、世界最高峰のクラブと言える。毎年、世界中のチームを招待して試合を行い、参加チームは少なくても、このクラブでの順位は世界ランキングの指標となっていた。
去年、Joeのチームは3位を獲得した。
世界ランキングも3位につけていた。
今年。
今年は、さらなる飛躍を期待していた。
そのため、Joeのスケジュールも忙しくなっていた。
本来なら華もこの訓練に参加するはずだったが、広橋香織の出産のため、Joeは彼女のスケジュールを調整した。それに、華は本当に理解力が高く、どんな方法でもすぐに適応できたので、時間的な余裕を持たせることができた。
今日は北村雅と広橋香織が赤ちゃんを産んでから3日目だった。
道明寺華も朝早くから香織の病室に来ていた。
今日はJoeは一緒に来なかった。
道明寺華は実際、Joeに余計な負担をかけたくなかった。
なぜかJoeに対して言い表せない距離感があり、まるで彼の邪魔をすることを恐れているかのようだった。あるいは、かつての北村忠からの影響が大きすぎて、今でも彼女の無知が他人にどれだけ迷惑をかけるかという言葉を鮮明に覚えていたため、誰に対しても極力迷惑をかけないようにしていた。
彼女が部屋に入った時。
北村雅はいなかった。
北村忠は隣の付き添いベッドで熟睡していた。
道明寺華は辺りを見回したが、広橋香織の赤ちゃんの姿は見当たらなかった。
広橋香織はベッドで目を覚ましたところで、道明寺華を見て本当に嬉しそうだった。すぐに華を呼び寄せ、「こっちに座って」と言った。
道明寺華は座り、「おばさん、今日の調子はどう?」と尋ねた。
「大丈夫よ、自然分娩だから回復も早いの。今日にでも退院したいくらいだけど、医師が私の出血量が普通より少し多いから、もう数日入院した方がいいって」
「そうね、もう少し入院していた方がいいわ。病院は何かと便利だし」