第554章 華が虎を北村家に送る(3番目)

上野和明は鈴木知得留を駐車場まで送った。

今はもう遅い時間で、虎を見るのに最適な時期ではなく、この時間帯は虎と華の休息を妨げることにもなる。

鈴木知得留は車の中に座ったまま、なかなか降りようとしなかった。

上野和明も立ち去るつもりはなかった。

二人とも深い思いに沈んでいた。

鈴木知得留が突然口を開いた。「和明お兄さん、君島博が私に不純な考えを持っているの」

上野和明の表情が明らかに曇った。

鈴木知得留は言った。「私は彼を成功させるわけにはいかないけど、拒否もできない」

「つまり、君は……」

「この機会に彼を殺そうと思っているの!」鈴木知得留は断固として言った。

上野和明は彼女を見つめた。

鈴木知得留は言った。「あなたの力を貸してほしいの」

「わかった」上野和明は頷き、その瞬間「冬木空に知らせておいた方がいいか?」