第584章 プロポーズ(2番目)

病室で、斎藤咲子は自ら切り出した。「私は北村忠に会うたびに、上がってこない?って聞くの。でも彼はいつも首を振って、そのまま車で去っていくわ」

斎藤咲子は北村忠との一幕一幕を思い出した。

彼女は、この男が今では本当に後悔しているのだと感じていた。

しかし彼はもはや勇気を持って、その一歩を踏み出すことができないようだった。

鈴木知得留は言った。「北村忠は本当に怖くなってしまったのね」

何が怖いの?

斎藤咲子は鈴木知得留を見つめながら言った。「私から見れば、北村忠は本当に嫌な人だったし、華に対してもひどいことをしたけど、もっと深く考えてみると、北村忠は当時、冬木心への責任感から華を傷つけることを選んだだけで、許せないほどの極悪非道なことをしたわけじゃない。それに二人の間には子供もいるし、やり直そうと思えばそれほど難しくないはずよ」