番外020 同じく愛したが、付き合い方は全く違う(一更)

北村忠は階段から降りてくる村上紀文を見つめ、ちょうど外から入ってきた冬木郷にも目をやった。

彼の口元に邪悪な笑みが浮かんだ。

彼は視線を斎藤咲子に移した。明らかに咲子も二人を見ていた。

こんな配置が北村忠の故意だということは想像に難くなかった。

彼女はただ少し驚いていた。村上紀文がどうして北村忠と連絡を取るようになったのか。

彼女の村上紀文に対する理解では、彼はこういう人たちに自ら連絡を取るタイプではない。もちろん、村上紀文が実は野心や復讐心を持っている可能性も排除できない。

彼も言ったではないか?

ある経験を経た後は、自尊心はそれほど重要ではなくなると。

彼女はそんなことを淡々と考えながら、全体的に冷静さを保っていた。

北村忠は眉をひそめた。

この斎藤咲子の精神力は本当に強い、こんな状況でも動じないなんて。

むしろ二人の男性が斎藤咲子を見て、そしてお互いを見たときに、少し気まずそうな様子だった。

しかし、その瞬間、全員が心の中で分かっていた。これは明らかに北村忠の意図的な計らいだということを。

冬木郷は村上紀文から視線をそらした。

彼は実際、村上紀文が出所したことをすっかり忘れていた。

時間は本当に容赦ないものだ。

彼は自然にソファの方へ歩み寄り、北村忠の手から虎を抱き取った。「おじさんに会いたかった?」

「会いたかった」虎の幼い声で、口元は特に明るい笑顔だった。

このとき村上紀文も階段から道明寺華と一緒に降りてきた。

虎はママを見ると、手を伸ばしてママに抱っこをせがんだ。

道明寺華は虎を抱き取った。

村上紀文は傍らで少し気まずそうだった。

彼は北村忠に近づき、声を低くして言った。「僕と華はすべて話し合いました。もう行きます。」

「どこに行くんだよ」北村忠は村上紀文の腕をつかんだ。

村上紀文は眉をひそめた。

北村忠は村上紀文の気持ちなど気にせず、彼をソファに座らせた。

隣には斎藤咲子が座っており、咲子の隣には今冬木郷が座っていた。道明寺華は虎を抱いて別のソファに座り、北村忠は村上紀文の隣に座った。

村上紀文は座ってから、斎藤咲子をちらりと見た。

咲子が冬木郷に視線を向けているのを見て、彼女は自ら口を開いた。「あなたのお兄さんと知得留はいつ来るか分かる?」

「電話して聞いてみるよ」冬木郷はすぐに言った。