「村上紀文、お前の母親が子宮がん末期だ」柳田茜は一言一言はっきりと、少し大きな声で、感情的に言った。
村上紀文は携帯を持ったまま、自分が聞き間違えたのではないかと思った。
「本当よ、嘘じゃない。さっき医者に事務所に呼ばれて、そう言われたの。すぐに病院に来て次の治療方針について話し合うように言われたわ。紀文、あなたとお母さんの関係が良くないのは知ってるけど、こんな時だからこそ、病院に来てお母さんの状況を少しでも理解して。お母さんをこのまま亡くなるようにはできないでしょう?」柳田茜は泣きそうになりながら言った。
村上紀文は喉が動き、「どこの病院だ」と言った。
「市立中央第一病院よ」
「病室番号を送ってくれ」
「わかった」
柳田茜は急いで住所を村上紀文に送った。
村上紀文は仕事の指示を出してから、すぐに出発した。