番外040 彼女は村上紀文が全て嘘をついていると恐れている(1)

村上紀文は夕食を作り終え、食卓に置いた。

斎藤咲子は近づき、村上紀文と向かい合って座った。

二人の食事は非常に静かだった。

村上紀文は進んで斎藤咲子におかずを取ってあげ、斎藤咲子は確かに好き嫌いがなく、村上紀文が彼女の茶碗に入れたおかずは全て食べた。

二人は夕食後、一緒にリビングでしばらくテレビを見る。

主にバラエティ番組を見て、斎藤咲子は時々番組のコメディ効果に笑うことがあるが、村上紀文はほとんど笑わない。ただ、斎藤咲子が小さかった頃は、彼の口角が思わず上がることがあった。

夜10時になると。

斎藤咲子はお風呂に入って寝る。

村上紀文は彼女のために着替えを用意し、お風呂のお湯を張っておく。

時には彼女と一緒に入ることもある。

斎藤咲子は実際、二人がこんなに率直に向き合うことにあまり慣れていないが、止めることもできないようだ。

村上紀文はいつでも彼女に従うが、ある面では非常に強引になる。

時々斎藤咲子も不機嫌になることがある。

しかし最終的には寝かしつけられる。

つまり、一瞬前まで怒っていても、関係を持った後は気にしなくなる。

二人の現在の生活は非常に息が合っている。

時には斎藤咲子がちょっと目配せするだけで、村上紀文は彼女が次に何を欲しているのかを知っているようで、欲しいものを用意してくれる。

ベッドでさえそうだ。

斎藤咲子が時々体を反転させると、村上紀文は彼女が今夜欲しいかどうかを知っている。

時々斎藤咲子は本当に村上紀文を恐れることがある。この男は彼女の心の中を見透かしているように感じるが、より多くの場合、年を重ねるにつれて彼が彼女のそばにいることに慣れてきているようだ…

彼女は村上紀文の腕の中に寄りかかり、情熱の後の二人は、いつもこのようにお互いを抱き合っている。

斎藤咲子はやや恍惚としている。毎回の後、言い表せない喪失感があり、まるで彼女の人生が少しずつ変わっていくようで、彼女はそれをコントロールできないようだ。

「水を飲みたい?」村上紀文は彼女に尋ねた。

斎藤咲子はうなずいた。

「水を汲んでくる」村上紀文は彼女の体を放した。

彼は手近にあったバスタオルを取って下半身を隠した。