番外049 村上紀文はこんなに価値が下がったのか?(一更)

夜の色、かなり遅くなっていた。

村上紀文はなかなか眠れなかった。

実は元々少し不眠症だったが、今夜の不眠は普段とはどうも大きく異なるようだった。

彼はずっと喉が渇き、心の中には言い表せない火のようなものが燃えていた。

彼はベッドの上で寝返りを打ち続けた。

最終的にどうしても気分が優れず、彼は布団をめくって起き上がり、リビングに行って冷たい水を飲んで喉の渇きを癒そうとした。

寝室のドアを開ける。

今はもうかなり遅い時間だ。

家の中も静まり返っていた。

村上紀文はキッチンに向かい、冷たい白湯を一杯注いだ。彼は素早く一杯飲み干し、少し心が落ち着いたように感じた。

しかしその安らぎは一時的なもので、飲み終わるとまた耐え難い渇きを感じた。

仕方なくさらに二杯飲んだが、飲み終わっても同じ感覚が続き、心の不快感は軽減されるどころか、むしろ胃に不快感を覚えるようになった。

彼はグラスを置いて部屋に戻り、再び眠ろうとした。

ちょうど振り返ったとき。

突然、誰かと正面からぶつかってしまった。

「あっ」柳田茜が小さく叫んだ。

その声に村上紀文の胸がどきりとした。

柳田茜は急いで彼の腕から身を離し、少し驚いた様子で言った。「村上紀文?」

「うん」村上紀文は低い声で返事をした。

「あなたも水を飲みに来たの?」

「うん」

「もう飲んだ?私が水を注ごうか?」柳田茜が彼に尋ねた。

「もう飲んだよ」

「そう」柳田茜はうなずいた。

村上紀文は柳田茜の傍を通り過ぎようとした。

柳田茜は突然彼を引き止めた。

村上紀文はぎくりとした。

その瞬間、本能的に彼女を押しのけようとしたが、体は動かなかった。

柳田茜は言った。「なぜか今夜は眠れなくて、でもおばさまの眠りを妨げたくなくて、だから出てきたの。少し話し相手になってくれない?」

村上紀文の喉が動いた。

柳田茜は緊張した様子で彼を見つめていた。

実は彼女はずっとリビングで村上紀文を待っていたのだ。

約2時間待ち、村上紀文が出てくるかどうかもわからなかったが、彼が突然ドアを開け、明らかに足早に歩いてくるのを見た。彼女は彼の後ろにいたが、彼はまったく気づかなかった。今、彼女が彼の前に立っていると、彼の熱い息遣いさえ感じることができた。

村上紀文は言った。「少し眠いんだ」