開いたベネチアンブラインドから差し込む明るい日差しが、私の頬を優しく温めていた。ゆっくりと目を開けると、最初に目に入ったのは私を見守る人影だった。最初は男性なのか女性なのか判別できなかった。目がぼやけて定まらなかったが、しばらくすると光に慣れて視界が鮮明になってきた。
女性だと分かった。視界が晴れてきたとき、私の目は彼女の柔らかく穏やかな表情に留まった。彼女は椅子に座り、ベッドの端に腕を置いていた。
彼女の美しいまつ毛が目の下で閉じては開き、また閉じた。しばらく観察していると、彼女が眠気と戦っているのが分かった。目の下の隈を見ると、何日も、おそらく何週間も眠れていないことが明らかだった。
水を欲しいと言おうとしたが、唇から言葉が出てこなかった。二度目に言葉を発しようとしたが、出てきたのはうめき声だった。小さな音だったが、それでもベッドにいた女性は目を覚ました。
私が目を覚ましているのを見て、彼女は眠気から急に目が覚め、座っていた場所から立ち上がった。「医師を呼んできます」と言って、ドアの方へ急いで向かった。
彼女が出て行くと、私はベッドから体を起こそうとしたが、突然の痛みに襲われて倒れ込んでしまった。胸の焼けるような痛みに、目から涙があふれ出た。耐えられないほどの痛みだった。
目を閉じ、痛みが引くのを待ってから再び目を開けた。
すぐに女性は部屋に戻ってきた。中年の医師と30代半ばの看護師を伴っていた。
看護師はベッドを調整して、私が半座りの姿勢になるようにした。バイタルをチェックしてメモを取り、医師が診察できるように脇に寄った。
医師は私を診察した。手足の感覚があるか尋ねられ、私は頷いて実際に動かしてみせた。
「お名前を教えていただけますか?」と医師は優しく尋ねた。
私の名前。心の中で繰り返した。突然の気づきに目が見開かれた。
何も思い出せない、自分の名前さえも!
パニックが激しく襲ってきた。私は何度も首を振った。恐怖に満ちた目で医師を見つめた。
医師は私の表情に浮かぶ感情をよく理解していた。落ち着かせようと、優しく肩に手を置いた。「大丈夫ですよ」と安心させるように言った。「頭部の外傷があったので、記憶が戻らないのは普通のことです。心配する必要はありません」と付け加え、笑顔を見せた。