私は取り消すことができない
私がしてしまったことを;
歌ってしまった歌を
歌い消すことはできない。
そして私の後悔について
最も悲しいことは—
私は自分を許せず
あなたは忘れられないということ。
— ラング・リーヴ —
***
私は後悔なくこの家を永遠に去り、二度と戻るつもりはない。もしこの忌まわしい場所に戻ることがあるとすれば—それは不在の父の葬式に出席するためだろう。もしくはヴィンスの葬式かもしれない。機会さえあれば彼の頭に銃を向けたがっている敵が長蛇の列をなしているのだから。
荷造りするものは山ほどあるが、全てを持っていくとすれば、家電や私物を運ぶためにトラックを借りる必要があるだろう。しかし、それは私の頭の中で最後の選択肢だった—私はただこの場所から一刻も早く逃げ出したかった。早ければ早いほどいい。だから私は必要最低限のもの—服だけを持っていくことに決めた。
ベッドの上には大きなスーツケースが開かれており、泥棒が部屋に忍び込んで既に一杯になった compartment に無作為に物を詰め込んでいるかのように、服が乱雑に詰め込まれていた。
必要なものを全て詰め終えたと気付き、ジッパーを閉めようとしたが、動かなくて苛立たしげにうなった。スーツケースに服を詰め込みすぎて、ジッパーを上げることができなくなっていた。既に無駄にした時間の長さに頭を振りながら、Tシャツを一握り取り出してベッドの上に投げ、やっとスーツケースを閉じることができてほっとした。
振り返ることなく部屋を出た。置いていくのは私物だけではなく、私の前途有望な未来もだった。もはや私はグレイソン・エンタープライズの裕福で影響力のある最高経営責任者ではない。ポケットに1セントしか持っていない貧乏人だ。私の銀行口座は全て凍結され、たとえそうでなくても、私が憎む男からの金には手を触れたくなかった。イブラヒム・グレイソンに、彼からは1セントたりとも受け取らずに生きていけることを証明してやりたかった!
「もう終わりだな、エース。お前の元婚約者を手に入れただけじゃない。会社も俺のものになった。」